NASAは8月26日、X線観測衛星「チャンドラ」によって撮影された超新星残骸「カシオペヤ座A」の最新画像を公開しました。

X線観測衛星「チャンドラ」が撮影した「カシオペヤ座A」の最新画像

■カシオペヤ座Aはチャンドラにとって特別な天体

カシオペヤ座Aは「カシオペヤ座」の方向およそ1万1000光年先にある超新星残骸です。カシオペヤ座は北極星を探すときの目安になるW字型をした星座なので、ご存知の方も多いでしょう。

超新星残骸とは、恒星が超新星爆発を起こしたときに生じた衝撃波によって周囲のガスが熱せられ、可視光線(人の目で見える光)やX線などで輝いている天体です。カシオペヤ座Aの場合、ガスの温度は華氏2000万度(摂氏およそ1100万度)という高温に達しています。カシオペヤ座Aのもとになった恒星の超新星爆発は今から340年ほど昔の1680年頃に観測されたはずだと考えられていまが、現在のところそれを示す記録は見つかっていません

冒頭の写真で青く写っている部分超新星爆発の衝撃波を示しており、欧州原子核研究機構(CERN)が保有する「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」の2倍に達するエネルギーまで粒子が加速されているとみられています。カシオペヤ座Aでは、そんな領域が差し渡しおよそ10光年というスケールで広がっています。

チャンドラにとって、このカシオペヤ座Aは特別な天体です。完成した望遠鏡などで最初に行う観測は「ファーストライト」と呼ばれていますが、カシオペヤ座Aは1999年7月に打ち上げられたチャンドラがファーストライトを実施した天体なのです。このときの観測によって、カシオペヤ座Aの中心付近に中性子星とみられる高密度の天体が初めて捉えられています。

チャンドラが1999年のファーストライトで撮影したカシオペヤ座A

■人間のタイムスケールで変化の様子が見える天体

以来20年間、チャンドラは幾度となくカシオペヤ座Aの観測を実施しました。撮影されたX線画像を年代順に並べてみると、少しずつガスが広がっていく様子が見えてきます。

こちらはNASAのチャンドラX線観測衛星チャンネルがYouTubeで公開しているカシオペヤ座Aの解説動画。ナレーションは英語ですが、ちょうど2分経ったあたりから年々変化するガスの様子が紹介されています。

先に触れた「超新星爆発が1680年頃に観測されたはず」という予測も、この動きを逆算することで得られたもの。猛烈なエネルギーが開放される超新星爆発の影響は、人間のタイムスケールでも把握できるほどの変化をもたらし得るのです。

なお、カシオペヤ座Aは「ハッブル」宇宙望遠鏡でも可視光線によって撮影されています。こちらはより低温(といっても華氏2万度、摂氏ではおよそ1万1000度)のガスが描き出した構造がキャッチされています。

チャンドラとハッブルがそれぞれ撮影したカシオペヤ座Aの画像を組み合わせたもの(Credit: NASA/CXC/SAO; Optical:NASA/STScI)

 

Image Credit: NASA/CXC/SAO
http://chandra.harvard.edu/photo/2019/firstlight/
文/松村武宏

 オススメ関連記事