銀河の幼い姿は「おたまじゃくし形」かも

派手な彗星の様にもマッチ棒の様にも見えるこの天体は、おたまじゃくしの様な不規則な矮小銀河「Kiso 5639」の姿をハッブル宇宙望遠鏡が捉えたものです。

おたまじゃくし銀河は、りゅう座の方向に存在する「Arp 188」を主に指しますが、その様な特異銀河とは異なる「おたまじゃくし」形の銀河が存在します。「Kiso 5639」の様に明るい頭と細長く淡い尾を持つ銀河は、銀河の進化の過程の形として遠い宇宙ではよく見られる形状なのです。多くの銀河は、この「おたまじゃくし」の時期を経て大きな銀河に成長した、とも言われています。

Kiso 5639」の全長は約8800光年で、頭に該当する箇所は直径約2700光年程の大きさと推測。数百万年前から始まったスターバースト現象により頭の箇所は、高密度の水素と大質量星によって輝き、その質量は太陽の100万倍の質量に相当すると言われています。一方、尾の部分は、控えめですが平坦で均等な星形成活動が行われていると見られ、数百万歳〜数十億歳と幅広い星々で形成されています。

この様な、おたまじゃくし形の銀河を調査することで、天の川銀河の歴史を探るヒントにつながるかもしれません。

地球から約8000万光年先に位置する「Kiso 5639」を捉えたのは、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3「WFC3」です。7つのフィルターを用いて撮影した合成画像は、2016年6月に公開されました。 

 

Image Credit:NASA, ESA, and D. Elmegreen (Vassar College), B. Elmegreen (IBM’s Thomas J. Watson Research Center), J. Almeida, C. Munoz-Tunon, and M. Filho (Instituto de Astrofisica de Canarias), J. Mendez-Abreu (University of St. Andrews), J. Gallagher (University of Wisconsin-Madison), M. Rafelski (NASA Goddard Space Flight Center), and D. Ceverino (Center for Astronomy at Heidelberg University)