イギリスのキール大学は8月14日、主星の至近距離を公転する木星に似た太陽系外惑星、いわゆる「ホットジュピター」を新たに4つ確認したCoel Hellier氏らの研究成果を発表しました。
研究内容をまとめた論文は7月26日付でarXivに登録されています。
■WASP-178bは2000度を超える「ウルトラホットジュピター」
確認された系外惑星は「WASP-178b」「WASP-184b」「WASP-185b」「WASP-192b」の4つ。いずれも系外惑星の検出を目的とした「WASP」プロジェクトのために南アフリカ天文台に設置されたWASP-South望遠鏡によって発見されました。
4つの系外惑星のサイズは、木星の1.2~1.8倍ほど。どれも10日以内の周期で公転するほど主星に近いため、表面の温度はすべて1000K(ケルビン)を超えています。このうちWASP-178bの温度はおよそ2470K(摂氏2200度ほど)と、今回確認された4つの系外惑星のなかでは一番高温で、研究チームはホットジュピターのなかでも温度が高い「ウルトラホットジュピター(ultra-hot Jupiter)」に分類しています。
■一番熱いウルトラホットジュピターは何度?
最近の研究では、昼側の温度が2200K(摂氏1930度ほど)を超える木星のような系外惑星がウルトラホットジュピターに分類されており、今回の論文では過去に確認されたウルトラホットジュピターの一覧も掲載されています。
それによると、今回の研究対象であるWASP-178bの2470Kという温度は、2012年に報告された「WASP-78b」に並ぶ9位タイ。1位は2017年に報告された「KELT-9b」で、温度はなんと4050K(摂氏3780度ほど)に達しています。
先日2つの系外惑星が見つかったM型の恒星「Teegarden’s star(ティーガーデン星)」の表面温度が2600~3000K弱とされていますから、KELT-9bの表面温度は小さな恒星をも上回る高温ということになります。
系外惑星というと生命体の存在が期待されるハビタブルゾーンに位置するものが注目されがちですが、このように極端な環境にあるウルトラホットジュピターのような系外惑星の研究も、惑星の形成や進化を考える上では欠かせない存在の一つです。
Image Credit: ESO/L. Calçada
[http://news.rice.edu/2019/08/14/young-jupiter-was-smacked-head-on-by-massive-newborn-planet/]
文/松村武宏