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こちらの画像は、南米チリの「アルマ望遠鏡」と、ヨーロッパ南天天文台(ESO)に所属するパラナル天文台にある「Very Large Telescope(VLT)」がそれぞれ捉えた天王星の姿を、1枚の画像に合成したものです。

土星ほど幅が広く目立つものではありませんが、天王星もを持っています。可視光線(人の目に見える光)ではほとんど見えませんが、画像では電波中赤外線の波長で浮かび上がった輪がしっかりと写し出されています。

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アルマ望遠鏡とVLTによって観測された天王星の合成画像

天王星は1781年に発見されましたが、その環はおよそ200年後の1977年になってようやく見つかりました。1986年にNASAの惑星探査機「ボイジャー2号」が天王星をフライバイした際の観測では、環の温度を測定できていません。

このように謎の多い天王星の環ですが、今回カリフォルニア大学バークレー校のEdward Molter氏らによる研究で、幾つかの謎が解き明かされました。

13本見つかっている環のなかで最も明るく目立つ「ε(イプシロン)環」は、ゴルフボール大かそれ以上の石や岩から構成されていて、塵のように小さな粒子は存在していないようです。また、その温度は摂氏マイナス196度(77ケルビン)と、天王星ほど太陽から離れた天体にしては温かいこともわかりました。

観測された温度が予想よりも高い理由は、塵のように小さな粒子が存在しないことも原因のひとつと考えられています。論文の共同執筆者であるレスター大学のLeigh Fletcher氏がLive Scienceに語ったところによると、大きめの粒子がゆっくり自転すると表面の一部分だけが太陽光に照らされて、粒子の表面に昼夜の違いが現れます。

こうした粒子からは昼に暖められた部分からのみエネルギーが放出されるため、粒子の表面全体から放出する場合よりも温度が少し高くなるようです。

非常に暗い輪を持つ天王星の想像図(Credit: NRAO/AUI/NSF; S. Dagnello)

また、天王星の環は非常に暗く、まるで木炭のように光を反射しにくいことも特徴です。環というと土星のようにくっきりと見えるものを想像しがちですが、その実態は惑星によって異なった姿をしているのですね。

 

Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); Edward M. Molter and Imke de Pater)
[https://public.nrao.edu/news/2019-alma-rings-uranus/] [https://www.livescience.com/65787-uranus-has-weird-rings.html] 文/松村武宏

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