老いゆく銀河はそのままでは果てぬ。中心で見つかる兆候

2019年5月27日に公開された新しい画像は、おとめ座銀河団に属する楕円銀河「M59」をハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ「ACS」広域惑星カメラ2「WFPC2」で捉えた画像を合成したものです。

NGC 4621」としても知られている「M59」は、1779年4月にドイツの天文学者ヨハン・ゴットフリード・ケーラーが彗星観測中に「M60」と同時に発見したとされ、その数日後にフランスの天文学者シャルル・メシエが発見し、メシエ・カタログの59番目に追加されました。

楕円銀河は、渦巻銀河や不規則銀河の様に主要銀河の1つです。中でも最も進化した銀河の姿が楕円銀河と考えられており、主に年老いた赤色の星で埋め尽くされています。一般的に楕円銀河は、新しい星を生み出す星形成が殆ど見られない老いた銀河とされますが、近年の研究結果によると、複数の楕円銀河で星形成の兆候が示されているケースも発見されているといいます。「M59」の場合は、銀河核である太陽質量の3億倍とも言われる超大質量ブラックホールの周囲に、青色の若い星で形成されたディスクが観測されるなど、星形成が行われている兆候が見られています。

この星形成は、かつてのスターバーストの残り滓なのか、それとも小さい銀河との衝突合体による影響なのか、様々な内容が議論されています。

 

Image Credit:ESA/Hubble & NASA, P. Cote
https://www.spacetelescope.org/images/potw1921a/