国立天文台が発表した4月2日の研究結果によると、すばる望遠鏡で観測したデータを解析したところ、原始ブラックホールはダークマター(暗黒物質)である可能性が低いことが明らかになったとの報告がなされています。

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ダークマターは今までにも、それらしき存在が確認されていますが「ダークマターの可能性がある」というだけで実際の正体は判明していません。ただし、質量があるが光を反射しないダークマターは、宇宙に存在する通常の物質の5倍の総量があるという事は判明しています。合わせて、ダークマターは銀河や銀河団の「質量欠損問題」を解決する外的要因であることも知られています。

また、一説として、ダークマターは初期宇宙に形成された原始ブラックホールである可能性も考えられていました。そこで、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の高田昌広主任研究者・教授 を中心とする国際研究グループは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「HSC:Hyper Suprime-Cam」を用い、アンドロメダ銀河をターゲットにした観測を実施。

アンドロメダ銀河に多くの原始ブラックホールが存在するのであれば、重力レンズ効果によって引き起こされる「マイクロレンズ効果」という変光星とは異なるスペクトルの変わらない星の光度変化の現象を多数観測できると推測。観測を行うにあたり、1000例程度のマイクロレンズ効果の観測が期待されていました。しかし、HSCを用いた7時間にわたる観測データを解析した結果、観測できたマイクロレンズ効果は、わずか1例という結果に。

▲唯一捉えられたマイクロレンズ現象による増光

 

この結果報告により、原始ブラックホールがダークマターである可能性が低いことが判明。それと同時に、ダークマターの正体は「未知の素粒子」である可能性が高くなったと報告されています。

 

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Image Credit:国立天文台 / NASA, ESA, J. Dalcanton (University of Washington, USA), B. F. Williams (University of Washington, USA), L. C. Johnson (University of Washington, USA), the PHAT team, and R. Gendler.
Source: 国立天文台

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