この宇宙に浮かぶ不気味な天体は、射手座の方向約1万光年先に位置している「ESO 456-67」として知られる惑星状星雲です。1946年に天文学者ルドルフ・ミンコフスキーによって発見されました。
惑星状星雲は、太陽と同じ様な質量を持つ恒星の末期の姿。大質量星が起こす超新星爆発とは異なり、自身の外層を吹き飛ばした恒星は、白色矮星となり強力な紫外線によって周囲のガスを照らすことで、様々な色や形として映し出されます。
また、惑星状星雲の”惑星”の名称は、実際の惑星と何の関係もありません。一世紀以上前、小さな口径の天体望遠鏡しかなかった時代。観測した天体が惑星の様に見えたことから惑星状星雲の名称が付けられました。
この画像では、「ESO 456-67」の異なる色で示された物質の層の星雲、白色矮星の存在する中心部分に空いたスペースなどを確認することができます。これは「ESO 456-67」の個性であり、全く同じ形状をした惑星状星雲は存在しません。ただし、球形・楕円形・砂時計形・8の字型など、多種多様でありながらも、ある程度は決まった形状に分類されます。
しかし、惑星状星雲の形成プロセスは完全には解明されていません。そのため、我々の太陽もどの様な惑星状星雲に進化するか未知であると言えます。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ2「WFPC2」の可視光(V・R・Hα)の波長で撮影されたもので、2013年2月に公開されました。
Image Credit:ESA/Hubble & NASA Acknowledgement: Jean-Christophe Lambry
https://www.spacetelescope.org/images/potw1308a/