こちらの画像は、2019年1月19日にNASAの小惑星探査機「オシリス・レックス」によって撮影された2つの画像を合成したもの。左下に見えるのは「オシリス・レックス」が観測を行っている小惑星「ベンヌ」の姿ですが、中央には何か小さなものがまとまっている様子が捉えられています。

この画像の撮影から2か月ほどが経った3月20日、NASAはベンヌの表面から何らかの粒子が放出されているのを観測したと発表しました。最初に粒子が確認されたのは1月6日のことですが、それ以降にも複数回、粒子の立ち昇る様子が検出されています。粒子の多くはそのままベンヌから遠ざかっていったものの、まるで衛星のようにベンヌを周回し、再び表面に戻っていった粒子もあるようです。

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気になるのは、この粒子が「オシリス・レックス」のミッションに及ぼす影響です。JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」と同じく、「オシリス・レックス」も小惑星からの試料採取に挑むべくベンヌに滞在しています。そのためにはベンヌの表面に近付かねばなりませんが、放出された粒子が試料採取の妨げになることはないのでしょうか。

NASAによると、これらの粒子が「オシリス・レックス」に何らかのリスクを及ぼすことはないとのこと。それよりも、予想より高い密度で分布している表面の岩のほうが懸念材料となっているようです。当初はベンヌの地表に半径25mのエリアを設け、そこから試料を採取することが想定されていましたが、地形が険しすぎるために、現在はより狭い候補地の検討が進められています。

その探査目的などから「オシリス・レックス」と「はやぶさ2」は兄弟ミッションのように語られることもありますが、目標天体の形状がよく似ていることや、試料採取ミッションの再検討を強いるほどに険しい地表の様子など、時が経つほどに共通点も増えていくのが興味深いところです。

「オシリス・レックス」プロジェクトマネージャーのRich Burns氏は「ベンヌはその荒涼とした地形で挑んできましたが、我々にはミッションを達成できるという自信があります」と語ります。「オシリス・レックス」の試料採取結果にも大いに期待したいですね。

 

Image credit: NASA/Goddard/University of Arizona/Lockheed Martin
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-mission-reveals-asteroid-has-big-surprises
文/松村武宏

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