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この想像図は、「ハビタブルゾーン」を公転する系外惑星「ケプラー62f」を描いたもの。ハビタブルゾーンとは、恒星からの距離が程よく、生命が存在し得る領域のことを指す言葉です。右側には、同じくハビタブルゾーンに存在する「ケプラー62e」が輝いています。

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地球外生命、とりわけ太陽とは別の恒星を巡る系外惑星で生命を探すには、さまざまな困難が伴います。特に難しいのは距離の問題です。数年かければ探査機が到達できる太陽系内の天体とは異なり、別の恒星系に存在する系外惑星は、直接探査をするにはあまりにも遠すぎるからです。

そこで天文学者たちは、系外惑星の大気から間接的な証拠を見つけようとしています。NASA・ゴダード宇宙飛行センターのGiada Arney氏によれば、「酸素」と「メタン」を同時に検出できるかが鍵のようです。互いに反応し、破壊し合う酸素とメタンが系外惑星の大気で同時に見つかるとすれば、それは何らかの理由……おそらくは生命体によって常に生み出されているからだとArney氏は述べます。

Arney氏の分析では、酸素とメタンを探すなら「K型」の恒星を周回する系外惑星が有望とされています。K型は表面温度が3,900~5,300K(ケルビン、絶対温度)で、太陽(G型)よりも温度が少し低く、質量も小さな恒星です。こうしたK型の恒星を公転する系外惑星では、太陽のようなG型の恒星よりも酸素がメタンを破壊する速度が弱まるため、大気中のメタン濃度が上がり、より検出されやすい条件が整うと期待されています。

酸素とメタンの検出は、K型よりもさらに軽く温度も低い「M型」の恒星を巡る系外惑星でも予想されてきましたが、M型の恒星は若い時期の活動が非常に激しく、将来的にはハビタブルゾーンに収まるはずの系外惑星の海を沸き立たせてしまう可能性も……。それゆえにArney氏は、G型とM型の中間となるK型こそ最適だというのです。

また、恒星は質量が小さいほど寿命も長くなります。G型の恒星である太陽の寿命は誕生から100億年とされていますが、より軽いK型の恒星の寿命は170億から700億年と言われており、その周囲を公転する惑星上で生命が進化するのに十分な期間が与えられています。

さらに、K型の恒星は太陽よりも暗く、その周囲の系外惑星が比較的観測しやすいのも理由のひとつのようです。Arney氏は将来の観測ターゲットとして「はくちょう座61番星」「インディアン座イプシロン星」「グルームブリッジ1618」「HD 156026」の名を挙げています。

Image credit: NASA Ames/JPL-Caltech/Tim Pyle
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/k-star-advantage
文/松村武宏

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