蛹から蝶に孵化する天体。そして蝶の姿もまた進化の過程

宇宙に無数にある天体は、時に生きて呼吸をする生き物の様な姿をしていることがあります。この画像に映し出されているのは、「AFGL 4104」(または Roberts 22)として知られている蝶の様な天体です。

中心星は既に晩年を迎えており、外層を吹き飛ばし始め、まるで蛹から蝶に孵化するその瞬間を捉えた様な姿をしています。「AFGL 4104」は、太陽と同じ様な質量を持つ恒星の最期の姿である惑星状星雲に進化する過程。そのため、蝶の姿である期間は一時的な物です。これから先、中心星が高温になり放出される強力な紫外線によって、現在の蝶々の形を捨て、全く異なる見た目をした惑星状星雲へ進化していく可能性が考えられます。

AFGL 4104」は、はくちょう座の方向約3300光年先に位置しており、捉えたのはハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ「WFPC2」の可視光波長。蝶の羽の中に、驚くほど複雑で繊細なループ構造とフィラメントが見つかっています。

また、「WFPC2」は「ACS」の補助期間を含む「WFC3」が取り付けられる2009年までの約15年間運用されてきました。この画像が公開されたのは「WFPC2」が取り外されてから約5年後の2014年3月。「AFGL 4104」の性質や構造などは、90年代にも論文として発表されていますが、長い時を経ても研究結果などにより新しい画像が公開されることもあります。

 

Image Credit:NASA, ESA, and R. Sahai (Jet Propulsion Laboratory)
■An interstellar butterfly
https://www.spacetelescope.org/images/potw1410a/