数千万年前という一瞬の銀河の瞬き

この宇宙には数えきれない程の銀河が存在します。広い宇宙と言っても銀河は時にすれ違い、そして衝突や合体を行うことで形を変え成長しています。銀河の衝突は決して珍しいものではありません。我々の天の川銀河もまた、同じ局部銀河群に属しているアンドロメダ銀河と40億年以内に衝突合体すると言われています。

この画像は、おおいぬ座の方向約1億1000万光年先の「IC 2163(右)」と「NGC 2207(左)」を捉えたもの。この2つの銀河は数千万年前に衝突が始まったとされ、銀河の衝突合体において初期状態に該当します。現在の「2つの目と瞼」の様な形状では、それぞれの銀河核や渦巻腕がはっきりと区別することが可能です。
しかし、この「2つの目と瞼」の様な形状も、数千万年かけて徐々に異なる形へと変化していきます。
数千万年前の出会いと数千万年以上かけた融合。人類の時間から考えると途方もなく長い時間ですが、宇宙の規模に当てはめると、ほんの一瞬の出来事なのかもしれません。

また、この画像は1999年11月に公開されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ「WFPC2」の紫外線・可視光・赤外線の波長を用いて撮影されています。NASAでは他にもチャンドラX線天文衛星スピッツァー宇宙望遠鏡によって捉えた画像も公開されており、波長別に見る銀河の姿は、全く異なる印象であることが分かります。

 

Image Credit:NASA/ESA and The Hubble Heritage Team (STScI)
■A grazing encounter between two spiral galaxies
https://www.spacetelescope.org/images/opo9941a/
https://svs.gsfc.nasa.gov/30941