2019年6月28日から同年9月4日まで、国際天文学連合(IAU)の創立100周年を記念して実施された「太陽系外惑星命名キャンペーン」。日本では恒星「HD 145457」とその周囲を公転する系外惑星「HD 145457 b」を対象に名前が募集されていましたが、このたびIAUからキャンペーンの結果が発表されました。

■恒星は「Kamui(カムイ)」、系外惑星は「Chura(ちゅら)」に決定!

名称が正式に決まった恒星「カムイ(HD 145457、奥)」と系外惑星「ちゅら(HD 145457 b、手前)」の想像図(Credit: 国立天文台)

HD 145457は「かんむり座」の方向およそ410光年先にある巨星で、太陽に比べて質量はおよそ1.9倍、直径は10倍近くに達します。HD 145457 bは主星の周囲を約176日で公転するガス惑星で、木星に比べて質量は2.23倍、直径は1.19倍と推定されています。

IAUは12月17日、主星HD 145457の名称が「Kamui(カムイ)」、系外惑星HD 145457 bの名称が「Chura(ちゅら)」に決まったことを発表しました。カムイはアイヌ語で「神」、ちゅらは沖縄・琉球語で「美しい」と説明されますが、IAUではカムイを「精神的(または霊的)なエネルギーを持つ超自然的な存在」、ちゅらを「自然の美しさ」と解説しています。

系外惑星ちゅらは、2010年、佐藤文衛氏らによる国立天文台ハワイの「すばる」望遠鏡や岡山天体物理観測所(発見当時)の188cm反射望遠鏡を用いた観測によって発見されました。国立天文台によると、キャンペーン期間中に寄せられた応募総数は696組に上ったといいます。

10月29日に国内で開催された特別選考委員会(王貞治さん、山崎直子さん他)において、一次選考を通過した30組に対する審査・投票が行われました。ここで最上位となった名称を同委員会が提案し、IAUの最終審査を経て「カムイ」と「ちゅら」の名称が正式に決定することとなりました。

なお、今回の太陽系外惑星命名キャンペーンは日本だけでなく、世界112か国において実施されました。たとえば英国では「やまねこ座」にある恒星「WASP-13」とその系外惑星「WASP-13b」の名前が募集され、WASP-13がマン島語で「輝く」を意味する「Gloas」、WASP-13bはこちらもマン島語で「軌道」を意味する「Cruinlagh」と命名されています。

カムイとちゅらをはじめ、今回のキャンペーンで命名された恒星と系外惑星の名称は、今後は公式な天体の名前として広く用いられていくことになります。

かんむり座周辺の星空。カムイ(HD 145457)の位置は白丸で示されている(Credit: 大西浩次)

 

Image Credit: 国立天文台
Source: 国立天文台 / IAU特設サイト
文/松村武宏

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