核融合を起こさず冷えていくだけの白色矮星は、太陽のような恒星が「死」を迎えた姿と言えます。そんな白色矮星の周囲に太陽系外惑星が存在する証拠を見つけたとする研究成果が発表されました。

■系外惑星から蒸発した物質でできたとみられる円盤が存在

円盤をともなう白色矮星(左)の近くを蒸発しながら公転する系外惑星(右)の想像図(Credit: ESO/M. Kornmesser)

白色矮星は、太陽の8倍よりも軽い恒星が水素を核融合し尽くす過程でふくれ上がって赤色巨星となり、周囲にガスを放出したあとに残される天体です。もはや核融合で輝くことはなく、時間が経つにつれてその温度は冷えていきます。太陽も例外ではなく、数十億年後には赤色巨星となり、地球は飲み込まれてしまうと考えられています。

Boris Gänsicke氏(ウォーリック大学、イギリス)らの研究チームは、全天の4分の1をカバーするサーベイ観測プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)」によって観測された約7000個の白色矮星を分析しました。

すると、かに座の方向およそ1500光年先にある白色矮星「WDJ0914+1914」が持つ円盤が、水素酸素硫黄といった元素を豊富に含んだ、白色矮星としてはめずらしい特徴を持っていることがわかりました。

WDJ0914+1914について詳しい情報を得るべく、研究チームがヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡「VLT」による観測を実施したところ、この白色矮星の円盤は、海王星ほどの大きさを持った系外惑星から流失した物質によって形成されている可能性が浮上しました。

太陽系の惑星である海王星や天王星の大気には、水(H2O)硫化水素(H2S)が存在します。研究チームでは、WDJ0914+1914にも海王星のような組成を持った系外惑星が存在していて、この惑星から流れ出た物質によって円盤が形成されることで、水素や酸素、それに硫黄を含んだ円盤が形成されたのではないかと考えています。

■まだ熱い白色矮星に至近距離からあぶられる

詳細な観測を実施したESO・パラナル天文台の超大型望遠鏡「VLT」(Credit: ESO/H.H.Heyer)

WDJ0914+1914は太陽の半分程度の質量を持っており、冷えていくだけとはいえ、現在観測されている表面温度は摂氏約2万8000度もあります。

研究によると、海王星サイズの系外惑星は、この白色矮星からおよそ1000万km(太陽の直径の7.5倍ほど)離れた軌道を10日程度で1周しているとみられています。表面が太陽の5倍ほども熱い白色矮星に対してこの距離はあまりにも近く、強烈な紫外線の放射によってこの系外惑星の大気は蒸発し続けており、そのうちの一部(毎秒3000トンほど)が円盤に流れ込んでいると考えられています。

また、最初からこの軌道に系外惑星が存在していたとは考えられないことから、研究チームは、この系外惑星が別の系外惑星と重力で相互作用した結果、白色矮星にごく近い軌道まで移動してきたはずだとしています。WDJ0914+1914の周囲には、主星が赤色巨星から白色矮星へと進化する激動の期間を生き延びた2つ以上の系外惑星が存在しているのかもしれません。

 

関連:謎めいた「軽すぎる」白色矮星。ケプラーの観測データから発見

Image Credit: ESO/M. Kornmesser
https://www.eso.org/public/usa/news/eso1919/
文/松村武宏

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