木星のトレードマークといえば巨大な「大赤斑」。近年、その面積が縮小していることから今世紀中に消滅する可能性が指摘されていましたが、消滅することはないとする見解が研究者から示されました。

■大赤斑の原動力である渦の状態が重要

木星探査機「ジュノー」が撮影した大赤斑(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Bjorn Jonsson)

カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)のPhilip Marcus氏は、シアトルにて開催されたアメリカ物理学会流体力学部門の第72回年会において、木星の大赤斑はすぐには消えないとする見解を発表しました。

木星の大赤斑は、巨大な高気圧の渦によって生み出されています。Marcus氏によると、木星では高気圧と低気圧による相互作用が日常的に起きていて、高気圧どうしが融合することもあれば、高気圧が低気圧を退けることもあるといいます。大赤斑を支える高気圧も例外ではなく、別の小さな高気圧と融合する様子が時折確認されています。

高気圧の渦に支えられている大赤斑の周囲でこのような高気圧や低気圧との相互作用が起きると、変化した風の流れによって大赤斑の雲の一部が剥離するといいます。その過程は今年の5月から6月にかけても観測されており、大赤斑の一部が数日かけて大赤斑から離れていく様子が捉えられています。

今年の5月25日から6月1日にかけて観測された大赤斑の変化(色合いを強調したもの)。一部の雲が右側に向かって剥離していく様子が2度に渡り捉えられている(Credit: Chris Go)

このように大赤斑の一部が剥離する現象は、大赤斑の消滅を意味するものではないようです。Marcus氏によると、UCバークレーの研究チームが木星の雲の画像を分析したところ、大赤斑はそれを生み出している渦よりも大きく広がっていることが判明しました。

つまり、大赤斑のサイズが小さくなったとしても、それを支える渦が小さくなったり、弱まったりしているとは限らないというわけです。Marcus氏はThe Conversationへの寄稿において、今年観測された大赤斑からの剥離は低気圧との相互作用によって説明できるとしています。

■大赤斑はいつまで存在し続けるのか?

かつては地球3個がおさまるほどの大きさ(幅およそ4万1000km)があった大赤斑も、現在では地球1個がおさまるくらい(2017年4月の時点で幅1万6000km余り)にまで小さくなってしまいました。それでもMarcus氏は、大赤斑を生み出している高気圧の渦が衰えたような兆候は確認できず、今後も生き残っていくだろうとコメントしています。

木星最大の特徴ともいえる大赤斑。サイズが変化することはあるようですが、今しばらくは消えずに存在し続けるのかもしれません。

「ハッブル」宇宙望遠鏡によって今年の6月に撮影された木星の全体像。木星のトレードマークはしばらく消えずに存在し続けるかもしれない(Credit: NASA, ESA, A. Simon (Goddard Space Flight Center), and M.H. Wong (University of California, Berkeley))

 

Image Credit: Chris Go
https://theconversation.com/contrary-to-recent-reports-jupiters-great-red-spot-is-not-in-danger-of-disappearing-127673
文/松村武宏