「青い彗星」の尾がたなびく様子をヨーロッパ南天天文台が撮影

尾を伸ばした姿が魅力的な「彗星」。ヨーロッパ南天天文台(ESO)から、2016年に発見された長周期彗星「C/2016 R2 (PANSTARRS)」の画像と、その尾がたなびく様子を捉えたタイムラプス動画が公開されています。

■彗星としてはめずらしく豊富な一酸化炭素や窒素が青い輝きをもたらす

青い尾が印象的な彗星「C/2016 R2 (PANSTARRS)」(Credit: ESO/SPECULOOS Team/E. Jehin)

ハワイの掃天観測プロジェクト「パンスターズ(Pan-STARRS)」によって2016年8月に発見されたC/2016 R2 (PANSTARRS)は、すでに昨年2018年5月に太陽へと最接近し、現在は太陽から再び遠ざかりつつあります。

この画像は、最接近に先立つ2018年1月18日に、ESOのパラナル天文台にあるSPECULOOS(スペキュラース)プロジェクトの望遠鏡「カリスト」によって撮影されました。移動する彗星に向きを合わせながら撮影しているので、背景の星々はぶれて写っています。

塵や氷などが集まってできた彗星は太陽に近づくと活性化してガスや塵を放出し、その周囲にコマを形成したり、塵やイオンからなる尾を伸ばしたりします。C/2016 R2 (PANSTARRS)は一酸化炭素窒素が豊富なために青っぽく見えることから、そのものずばり「the blue comet(青い彗星)」と呼ばれています。ESOからは、この青い尾が変化する様子を捉えたタイムラプス動画も公開されています。

画像とタイムラプス動画を撮影したSPECULOOSプロジェクトでは、褐色矮星を周回する地球サイズの太陽系外惑星を見つけるために、直径1mの主鏡と鋭敏な近赤外線カメラを備えた望遠鏡を4基用いています。望遠鏡にはガリレオ・ガリレイが見つけた木星の衛星にちなんで「イオ」「エウロパ」「ガニメデ」「カリスト」の名がつけられています。

なお、NASA・ジェット推進研究所(JPL)のデータベースによると、C/2016 R2 (PANSTARRS)の公転周期は1万9000年余り。次に太陽へ接近するのは、およそ2万年弱も先のこととなります。

SPECULOOSプロジェクトの望遠鏡群(Credit: tau-tec GmbH)

 

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Image Credit: ESO/SPECULOOS Team/E. Jehin
https://www.eso.org/public/usa/images/potw1940a/
文/松村武宏