画像全体に広がっているのは、星の爆発現象「超新星爆発」の残骸(超新星残骸)です。2018年、超新星爆発のあとに残された中性子星が発見されました。しかしその場所は画像全体に渡ってリング状に広がる超新星残骸の中心ではなく、やや左下に広がる赤いリング状のガスの中心に「ひとりぼっち」でいることがわかりました。通常は近くに伴星となる星がいて互いの周りを回る連星系を形作っていることが多いのですが、それも存在しないようです。

この超新星残骸は「E0102」と呼ばれ、画像は複数の装置・波長で観測したものを重ねたものです。青はNASAのチャンドラ衛星で観測したX線を擬似的に着色したもの、赤と緑は可視光線でチリにあるヨーロッパ南天天文台のVery Large TelescopeおよびNASAのハッブル宇宙望遠鏡で観測したものです。中性子星は赤いリングの中心に青く小さな点として映っています。ところでなぜ中性子星はこのような位置にいるのでしょうか。

星は超新星爆発を起こした結果、E0102の画像でいうと外側のリングを形成し、残った星の核が非常に密度の高い中性子星として残されると考えられているため、中心からずれた位置に中性子星があることは天文学者たちの予想外でした。超新星爆発そのものによって中性子星が押し出されるように動いたというシナリオも考えられましたが、現在の中性子星の周囲に赤いリングが残されていることの説明がつきません。逆に、外側のリングが別のシナリオで形成された可能性もあります。もしかすると別の星が関係しているのかもしれません。

原因の解明には将来の観測を待つ必要がありますが、この画像のようにX線・可視光など異なる波長による観測を組み合わせると新たな事実がわかることがあります。超新星残骸は星が一生を終えた後の姿ですが、多波長で観測すると見た目にも(目に見えないX線は擬似カラーにするしかありませんが)美しい画像として楽しめますね。

 

Image: X-ray (NASA/CXC/ESO/F. Vogt et al.); Optical (ESO/VLT/MUSE & NASA/STScI)
Source: NASA
文/北越康敬

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