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ブラックホールの見え方をシミュレートした想像図(静止画)

NASAは9月26日、ブラックホールの見え方を視覚化した一連のシミュレーション動画を公開しました。こちらはそのひとつで、ブラックホールを横から観察するとどのように見えるのかをシミュレートしたものになります。

■見えているのは「吸い込まれかけたガス」が輝く降着円盤

といっても、光さえも抜け出すことができないブラックホールを直接見ることはできません。オレンジ色に輝いているのは、ブラックホールに吸い込まれかけている高温のガスなどが高速で周回する「降着円盤」と呼ばれるもの。円盤と名付けられてはいますが、その中心にはブラックホールがあるので、実際には幅の広い輪のような構造をしていると考えられています。

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動画では、左向きに回転している降着円盤をやや斜め上から見下ろしたときの様子が再現されているのですが、右からブラックホールの裏側に回り込んでいくはずの降着円盤が、なぜか途中から手前に折れ曲がり、まるでブラックホールを飛び越えるようにして左へと流れているように見えます。

このように見えるのは、ブラックホールの強烈な重力によって光の進行方向が曲げられてしまうから。実際には裏側に回り込んでいる降着円盤からの光が重力によって大きく曲げられることで、横から見るとこのように折り曲げられたように見えるわけです。

ちなみに、ブラックホールを飛び越しているように見えるのは裏側にある降着円盤の上面から発せられた光ですが、ブラックホールの下には降着円盤の下面から発せられた光が重力に向きを曲げられて見えています。降着円盤の手前の部分は片側しか見えないのに、裏側の部分は表と裏の両方が同時に見えてしまうのです。

■上から見るとどう見える?

からでは不思議な形に見える降着円盤ですが、真上から見れば1つの円盤(輪)として認識することができます。こちらは、シミュレートされたブラックホールを縦方向に360度ぐるりと回転させ続けている動画。見る人に対する角度によって、降着円盤の見え方も変わる様子がよくわかります。

また、降着円盤の内側にある細いリングは、ブラックホールを2~3回(あるいはそれ以上)周回したのちに脱出した光によって描き出されるもの。このリングの内側にある暗黒の部分が、ブラックホールシャドウと呼ばれる部分です。

なお、今回シミュレートされたブラックホールが持つ事象の地平面(内側に入った光が脱出できない仮想の球体)の直径は、シャドウの直径の半分しかありません。人類がブラックホールの様子をここまで鮮明に捉えられる日は、いつかやってくるのでしょうか。

 

Image: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman
Source: NASA
文/松村武宏

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