2014年に欧州宇宙機関(ESA)の探査機「ロゼッタ」によって、世界初の彗星着陸が行なわれた「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(P67)」。
この非常にいびつな形をした彗星は約6.5年というゆっくりとした公転周期で太陽系を周っています。この彗星にはロゼッタから着陸船「フィラエ」が着陸したのですが、フィラエは同彗星に存在する物質の組成を計測しています。そして、イギリスのオープン大学のColin Snodgrass氏やその同僚はそのデータを用い、においを取り扱う会社の協力を得てチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のにおいを再現し、突き止めたと言います。
匂いの成分は、硫化水素やアンモニア、シアン化水素を混ぜたもので「腐った卵」「猫のおしっこ」「苦扁桃(アーモンド)」という何とも複雑な匂いになるようです。シアン化水素などは有毒なので再現物には使用していませんが、「P67」の匂いと大きく変わらないものが出来たとのことです。
Snodgrass氏は「もし彗星のにおいがかげれば、今回のような結果になるでしょう。しかし、もし宇宙服なしに彗星の上に立てば、空気がないので匂いを感じることはできませんけどね」と語っています。
宇宙には無数の匂いが存在すると思いますが、人類にとって良い匂いのする天体の方が圧倒的に少なそうですね…。
※この記事は2016年6月に掲載した記事を再編集した物です。
Source
- Image Credit:ESA/Rosetta/Navcam
- newscientist - Comet perfume captures Rosetta probe's whiff of comet 67P
文/sorae編集部