銀河を食し、融合の最終段階に達した「NGC 2623」

かに座の方向約3億光年に位置する「NGC 2623」は、今まさに銀河の融合を終えようとしています。

銀河が融合することは決して珍しいことではありません。相互作用する銀河は、ゆっくりとお互いを周回し近づいていきます。そして、大きい銀河は小さい銀河を吸い込み始め、最終的には1つの巨大銀河に生まれ変わります。「NGC 2623」は、銀河の融合するプロセスの最終段階にあり、既に小さい銀河は吸収され、銀河の核が1つに統合されています。
また、銀河の衝突はガスや塵などの物質が大量にぶつかり合い刺激されることで、星形成活動の場を作り出します。「NGC 2623」には相互作用する銀河の潮汐によって作られた両極に伸びる「」が存在し、青く若い星団が分布されていることから星形成が盛んに行われていることが分かります。

また、我々の天の川銀河もアンドロメダ銀河と相互作用の関係(相互作用銀河)にあると考えれていることから、約40億年後には「NGC 2623」の様に1つの銀河に融合する可能性があります。
この画像はハッブル宇宙望遠鏡の掃天用高性能カメラ「ACS」の光学B/疑似緑(B+I)、赤外Iによって撮影され2009年10月に公開されたものですが、決して見ることのできない天の川銀河とアンドロメダ銀河の融合した姿を見せてくれているのかもしれません。

 

Image Credit:NASA, ESA and A. Evans (Stony Brook University, New York, University of Virginia & National Radio Astronomy Observatory, Charlottesville, USA)
■Hubble views results of NGC 2623 merger
https://www.spacetelescope.org/images/heic0912a/