火星に存在する2つの衛星のフォボスとダイモス。このうち大きい方のフォボスは、火星の「環」の再形成というサイクルの一部だという研究が、パデュー大学の大学院生のAndrew Hesselbrock氏により発表されました。
Hesselbrock氏が計算した最新モデルによると、かつてフォボスは43億年前の火星への巨大衝突によって引き起こされた環でした。そして現在のフォボスも、火星に接近することで再び環になる可能性があります。そして、火星の2/5を覆うボレアレス盆地がその衝突の痕跡だとされているのです。
火星に巨大衝突が起きた後、その破片は火星周辺に散らばり、一つの月を形成。この月が火星の重力に引かれ、バラバラに引き裂かれたとされています。さらに科学者によれば、このようなサイクルは3回〜7回も起きているとのこと。また、衝突の度にその破片は火星へと堆積していったそうです。
これまで、フォボスやダイモスは小惑星が火星重力により捉えられた結果だと考えられてきました。今回の研究はなかなか挑戦的なものですが、火星の衛星が地球の月のようにしてできたのだとしたら、なかなか興味深いですね。
Image Credit: NASA
■A Moon of Mars May Have Once Been Rings (& Might Be Again)
http://www.space.com/36132-mars-moon-phobos-rings-cycle.html
■Mars May Have Had Rings, and They May Come Back
http://www.popularmechanics.com/space/moon-mars/a25754/mars-may-have-once-had-rings/
■An ongoing satellite–ring cycle of Mars and the origins of Phobos and Deimos
http://www.nature.com/ngeo/journal/vaop/ncurrent/full/ngeo2916.html
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