NASAは10日、火星に新しくできたクレーターの画像を公表しました。
今回の画像は、火星周回機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」によって2016年9月に撮影されたクレーターです。同じ地点が2012年に観測されていますが、その当時は目立つ起伏もなく塵が均一に覆っていたため、新しくできたクレーターだとわかりました。
なお、火星の大気は地球に比べると極めて薄いことが判明しています。そのため、地球では大気圏で燃え尽きて流れ星になるサイズの隕石でも、大気の薄い火星では表面に落ちることがあるのです。
今回発見されたクレーターは直径が約8mと小さいようにも感じますが、隕石の衝突による噴出物は1km以上の範囲に広がっています。
またクレーターの左下あたりでは、色を加工していますが積もった噴出物が青く見えています。何の物質が青く見えているのかについては、衝突によって噴出した様々な地層の物質の可能性があるため、まだわかっていません。さらにこれまでにも、同じ色をした噴出物が他の新しいクレーターでも確認されています。
そして火星探査車「キュリオシティ」の観測から、火星の表面の多くは玄武岩質が占めているとわかっています。ちなみに、これはハワイの火山由来の地表に似ているため、火星長期滞在の体験はハワイで行われています。
MROは2006年より、2種類のカメラで火星表面を観測しています。一つは口径50cmの反射望遠鏡をレンズとして搭載し、狭い範囲の詳細な観測に適した高解像度カメラ「HiRISE」。そしてもう一つのカメラが今回の観測に用いられた、広範囲の観測に適している「CTX」です。同探査機は名称にもある通り、「リコネサンス(偵察)」に優れた2種類のカメラを搭載しているのですね。
Image Credit:NASA
■Unlocking an Impact Crater's Clues NASA
https://www.nasa.gov/image-feature/jpl/pia21451/unlocking-an-impact-craters-clues
■宮本英昭・ほか編(2008)『惑星地質学』東京大学出版会.