地球と月は平均で38万4400kmの距離がありますが、酸素にとってはその程度の距離は十分移動可能なようです。大阪大学などの研究によると、地球大気の酸素が月まで移動し、月の地表に蓄積されている可能性があることが発表されました。この現象は地球大気に酸素が生成されて以来、24億年間継続されていたものと考えられます。
このような移動は、月の約27日の公転周期のうちの数日間にしか起きないものと予測されます。普段は月は太陽からの太陽風にさらされているのですが、27日のうちの5日間は地球の磁気圏尾の圏内に入ります。そしてその間に、地球からの酸素イオンが月の表面まで到達しているというのです。
今回の研究結果は、月周回衛星「かぐや」の観測データから得られました。地球上の酸素の多くは植物などの生命活動によって生成されたもので、それが月にまで到達していたという事実は実に興味深いものです。またこれまでの月の探査結果から、酸素だけでなく窒素や貴ガスの移動も予測されていました。
月は地球に火星サイズの隕石が落下してその破片でできたという説(ジャイアント・インパクト説)や、小天体の複数回の衝突でできたという新説もあります。さらに古代から地球の酸素が到達していたとすれば、地球と月はこれまで知られていた以上に親しい関係なのかもしれませんね。
Image Credit: Osaka Univ. / NASA
■Oxygen from Earth’s atmosphere may be traveling all the way to the Moon’s surface
http://www.theverge.com/2017/1/30/14432192/earth-moon-atmosphere-oxygen-share-lunar-soil
■“地球の酸素が月に到達” 大阪大学などのグループ発表
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170131/k10010858471000.html
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