私達の頭上に昇る「月」。昨年にはスーパームーンなんて興味深い現象も起きました。その月の誕生についてですが、以前には地球に巨大隕石が衝突して誕生したとの見方が有力でした。しかし新たな説によると、どうもその誕生は「小さな天体が地球に次々と衝突し、小さな月が集まった結果」だというのです。
これまで、月の誕生は地球に火星サイズの隕石が衝突して破片が飛び散り、集まったとされる「ジャイアント・インパクト説」が唱えられてきました。この説では衝突した天体と地球の両方の破片が月を形成したことになりますが、実際の月の構成物質は地球とほぼ同一。ジャイアント・インパクト説はこの点をうまく説明できていなかったのです。
今回イスラエルのヴァイツマン科学研究所のRaluca Rufu氏らチームはコンピューターでのシミュレーションの結果、小さな天体の複数回の衝突でも地球の周りに物質がディスク状に飛散することを突き止めます。やがて飛散物は小さな月(ムーンレット)となり、その小さな月が衝突して現在のサイズの月になるまで数百万年もの時間がかかったとしています。
論文の共著者のHagai Perets氏は、「かつて、地球の周りには複数の月が存在していました。それらは異なる天体の衝突によって発生したのです」と語っています。またRufu氏は「おそらく小さな月同士が軌道を横切り、衝突し、合体したのでしょう」と見ています。
今後、Rufu氏らの研究チームはムーンレットの衝突と合体についての研究を進めます。地球から一番近い隣人の誕生に新説が登場することにもびっくりですが、それだけ宇宙は謎だらけということなのでしょうね。
Image Credit: Alamelu Sundaramoorthy
■The moon is really made up of lots of little moons, new theory proposes
http://www.independent.co.uk/news/science/moon-new-theory-how-where-from-cosmic-collisions-a7518671.html
■Was our moon formed when a bunch of moonlets all smashed together?
http://www.csmonitor.com/Science/Spacebound/2017/0109/Was-our-moon-formed-when-a-bunch-of-moonlets-all-smashed-together
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