ESA(欧州宇宙機関)による彗星探査ミッション「ロゼッタ探査機」でチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に派遣され、その後残念ながら通信の途絶により復旧が諦められた着陸船「フィラエ」。そのフィラエがなんと、岩陰のような部分から奇跡的に発見されたのです!
フィラエは2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着地し、一時的に通信も行なっていました。しかし2015年に通信が途絶した後は、その場所すら不明となっていました。さらに2016年9月には母艦となるロゼッタ探査機もミッションを終了するため、フィラエの発見は絶望視されていたいのです。
ロゼッタミッションのマネージャーを務めるPatrick Martin氏は、「今回の素晴らしい発見は、丹念な捜索の成果です。我々はフィラエは永遠に失われるかもしれないと思っていました。このように最後の最後になって同着陸船を発見できたのは、本当に驚くべきことです」と語っています。
また画像からもわかるように、フィラエは岩の隙間の影のような部分に存在しています。そのことから太陽光による発電がうまく機能せず、大部分の時間を機能不全の状態で過ごしたのだと想定されます。またその姿勢も横倒しのような不適切なポジションとなっており、このことも通信の障害の原因になったようなんです。
現在はすでにフィラエとロゼッタの通信を行うスイッチはオフとなっており、フィラエに対してできる手立ては何もありません。またロゼッタも9月30日に隕石に衝突させる形でミッションを終える予定となっています。ただし今回のように画像でフィラエの着陸位置が確認できたことは、将来の彗星探査において大きな収穫となることでしょう。
Image Credit: ESA
■The European Space Agency has found its missing Philae comet lander
http://www.theverge.com/2016/9/5/12799056/esa-rosetta-mission-comet-67p-philae-lander-found
最新記事
-
天文新たな明るい彗星候補「ATLAS彗星(C/2024 S1)」(A11bP7I)を発見2024.10.09
-
天文豪華絢爛 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した超星団「ウェスタールンド1」2024.10.08
-
宇宙開発先進レーダ衛星「だいち4号」が静止衛星との間で光衛星間通信に成功2024.10.08
-
打ち上げ情報スペースX、ESAの二重小惑星探査機「Hera」を打ち上げ2024.10.08
-
天文宇宙の “明るさ” に謎の光は不要 「宇宙可視光背景放射」の新たな推定結果2024.10.07
-
宇宙開発ハリケーン到来予想で安全対策 NASAが「エウロパ・クリッパー」10月10日の打ち上げ中止2024.10.07