2005年に小惑星「イトカワ」に到着し、史上初の微粒子サンプル回収を達成して2010年に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。その偉業は今も記憶に新しいところですが、今回JAXAはその微粒子に「40億年以上昔から現在までの歴史の痕跡」が残っていたと発表しました。
JAXAは非常に微細(数10マイクロメートル)なイトカワの微粒子をX線マイクロトモグラフィーや電子顕微鏡で分析。するとその表面のナノメートル単位の模様に、イトカワ母天体に由来するものを発見したのです。
そもそも、イトカワは地球に接近する公転軌道をもつ地球近傍小惑星の一つです。近日点(公転周期の太陽に近い点)は地球軌道の内側に入り、半径160メートル、長形500メートルのいびつな形をしています。その大きさと地球への近さから、はやぶさによる探査の対象に選ばれました。またその由来はイトカワの40倍程度大きい母天体が破壊され、その破片が集まって現在のイトカワになったとされています。
そしてイトカワの母天体は40億年以上前に誕生したとされているのですが、それに由来する模様が今回の微粒子から発見されたのです。また今回の分析では太陽風や摩擦による模様なども発見されています。つまり、この微粒子からは40億年以上前から現在までの歴史が見て取れるというわけなんです!
現在JAXAははやぶさに続き、新たな小惑星探査機「はやぶさ2」を小惑星「リュウグウ」へと派遣しています。そしてより始原的なリュウグウの微粒子を採取することで、太陽系の起源や生命の誕生の謎を解明する予定です。
Image Credit: ISAS, JAXA
■微粒子表面の模様に残る小惑星イトカワ40億年の歴史
http://www.jaxa.jp/press/2016/06/20160622_itokawa_j.html