大阪産業大学、東京大学、国立天文台のチームは131億光年先の銀河で「電離した酸素ガス」を観測したと発表しました。これだけ離れた場所での酸素の発見は史上初となり、さらにこの発見は宇宙の謎「再電離」を解明する手がかりとなりうるそうなんです!
今回研究チームは、くじら座の方向にある銀河「SXDF-NB1006-2」をアルマ望遠鏡で観察しました。アルマ望遠鏡とはチリにある「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計」の略称で、数十台のアンテナを組み合わせることでミリ波、サブミリ波を観察する一つの巨大な宇宙望遠鏡として利用することができます。そして観察の結果、酸素の光を検出することに成功しました。
SXDF-NB1006-2の疑似カラー合成画像。緑が酸素、青が水素、赤が紫外線を意味します。
宇宙には未だ解き明かされていない謎「宇宙再電離」があります。まず、宇宙は誕生時には粒子が電離した状態でした。しかし宇宙が膨張するにつれてその内部は冷えていき、そして誕生から約40万年後には電離がおさまったとされています。ところが宇宙に天体ができるとまたしても電離が起き(宇宙再電離)、その状態が今でも続いているのです。この再電離を起こした天体は何なのかが、これまで謎となっていました。
そして今回見つかった約131億年前の銀河に存在する「電離した酸素ガス」は、時期的にはちょうど宇宙に再電離が起きたタイミングに相当します。ですので、この再電離を起こした原因が何なのかを検証する有力な手がかりとなる可能性があるのです。
最近は重力波の2度目の観測に成功したり、宇宙の大部分を占めるダークマターとダークエネルギーについて新しい仮説が提唱されたりと、宇宙の成り立ちについての研究が盛んです。私達はどこから来たのか…という根源的な疑問も、いずれ解き明かされる日が来るのかもしれませんね!
Image Credit: 国立天文台, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)
■アルマ望遠鏡、観測史上最遠方の酸素を捉える
http://www.nao.ac.jp/news/science/2016/20160617-alma.html
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