地球生命の謎解明へ。宇宙空間でキラリティー持つ「有機分子」を発見

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宇宙の話に入る前にちょっと小話を。私たちの右手と左手はとても良く似ているのに、いくら回転しても同一形状に重ねあわせることができません。このような性質を「キラリティー」と呼び、分子や結晶の組成でも同じ構造が見られます。
 
そしてアメリカ国立電波天文台の科学者たちは今回、初めて宇宙空間でキラリティーを持つ複雑な有機分子を発見しました。この有機分子は地球上の生命体に必須なことから、地球上の生命体の起源を知る重要な手がかりになることが期待されます。
 
今回サジタリウスB2のガス雲で発見された有機分子は「酸化プロピレン(CH3CHCH2O)」です。これまでも地球に落下した隕石からこの分子は発見されていたのですが、宇宙空間で観測されたのは今回が初めてとなります。
 
実は地球上で発見される分子はそのキラリティーに偏り(L、R、S、D…など)があります。例えばタンパク質を形成するアミノ酸は全てがL型です。この状態をホモキラリティーと呼ぶのですが、なぜ地球上でホモキラリティーが見られるのかは長年謎でした。
 
今後宇宙空間で有機分子のキラリティーを観測することにより、この地球上でみられるホモキラリティーの原因を解明する手がかりになることが期待されています。私たち生命体は宇宙から隕石でやってきたなんて話もありますが、その起源がわかるとすればなんだかワクワクしてしまいますね!
 
Image Credit: Slash Gear
■Asymmetric molecule detected in space, points to cosmic origins of life on Earth
http://www.slashgear.com/asymmetric-molecule-detected-in-space-points-to-cosmic-origins-of-life-on-earth-15444411/