
今ではカラカラに乾いてしまった火星ですが、数十億年前には巨大な2つの津波が発生していたとの報告が科学雑誌のネイチャーに報告されています。さらに研究結果によると、この2つの巨大津波が現代の火星の表面を形作ったというのです。
発表によると、この津波は隕石の落下により発生した可能性があります。そしてこの津波の移動が、火星の表面に水が存在していた証拠を残しました。コーネル大学の天文学者のAlberto Fairén氏はこのように語っています。「初期の火星には、非常に冷たい海が存在していた可能性があります。冷たく、長い冬の時期には火星に大きな水に被われた部分があり、それらが海や大海として古代の火星に存在していたのです」
報告によれば、隕石による2つの津波が発生した時期は約34億年前。最初の津波は30万平方マイル以上の土地を覆い、次の津波は数百万年後に約40万平方マイルの土地を覆いました。これらのデータは火星の地理学的データと温度データの解析から推測されています。また火星には水の移動によって形成された「丸石」が数百マイルにわたって存在しており、これらの存在が火星に発生した津波の存在を裏付けているのです。
さらに、火星は2つの津波が発生した間の時期に凍える星になったとも報告されています。この時期には火星の水が凍り付きだし、また海岸線も後退しました。そして、2回目の津波が発生した頃には多くの氷が存在していたことが予測されています。
もし火星に生命体が存在していたとすれば、これらの津波によって形成された岩石の中にその証拠があるはずです。現在、火星ではNASAの探査機「キュリオシティ」が生命体の存在の可能性を探っており、ESA(欧州宇宙機関)もエクソマーズ計画で火星の生命体を探査します。こうして火星に多くの水があったという報告を聞けば聞くほど、過去には生命体が存在していたのでは…と期待してしまいますね!
Image Credit: The Verge
■Massive tsunamis on Mars could have shaped the planet's surface
http://www.theverge.com/2016/5/19/11712756/massive-tsunamis-on-mars-could-have-shaped-the-planets-surface