上の美しく赤く光る天体。これ、実は一つの星が光っているのではなく、大きな恒星が小さな恒星を取り込む過程で発せられた光なんです。
2008年や2015年にも観測されたこの「高輝度赤色新星」は、突然明るくなりまたその後に暗くなるという特徴を持ちます。明るくなる過程では太陽の50万倍も明るくなり、アンドロメダ銀河でも最も明るい星となります。私たちの銀河でも2008年にV1309 Scorpiiと呼ばれる高輝度赤色新星が発見され、その観測結果からこの天体は2つの恒星が回転しながら融合し、その過程でガスを周囲に撒き散らしてこのような形状になることがわかっています。
上の画像は、いっかくじゅう座のV838星。観測にはハッブル宇宙望遠鏡が利用されました。その特徴は強い赤い光と、赤外線での光の照射です。恒星が明るい期間は数週間から数カ月しか続かず、その後は再び暗くなります。
高輝度赤色新星はまだ新しい天体の分類で、その正体はまだはっきりしていません。今後はハッブル宇宙望遠鏡の後継となるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などもその観測に加わり、高輝度赤色新星の正体の解明が行なわれることでしょう。
Image Credit: NASA
■Cannibal stars explode violently – as predicted by Darwin’s son
https://www.newscientist.com/article/2088114-cannibal-stars-explode-violently-as-predicted-by-darwins-son/
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