太陽系外縁天体の「冥王星」での調査を行ない、地球にデータを送信し続けているNASAの無人探査機「ニュー・ホライズンズ」。そのニュー・ホライズンズが送ってきたデータから、冥王星には「氷の火山」が存在しているたことをNASAが報告しています。
まず冥王星では水だけでなく、窒素やメタン、一酸化炭素も氷として存在しています。そして、氷の火山では地中で暖められた水や窒素などが地表に噴き出しているのです。上の画像にあるWright Monsと名付けられた標高3,000メートル級の山には中央に穴があり、ここで噴火活動の証拠が発見されました。
氷の火山は冥王星のように、太陽から遠くて寒い惑星で観察されます。以前にはボイジャー2号が海王星の惑星「トリトン」で氷の火山を観測しました。また土星の衛星など、他にも太陽系の天体には氷の火山が存在しているとみられています。惑星科学者のJohn R. Spencer氏によると、「このような特徴的な地相は太陽系で見たことがない。このような物理現象はさらに研究する必要がある」とのこと。氷(実際には液体と固体の混合物)が山から吹き出すなんて、冥王星の環境には驚くばかりです。
今後、ニュー・ホライズンズは太陽系外縁天体の「2014 MU69」への2019年1月1日の到着を目指して飛行します。2014 MU69での観測は、人類が太陽系を理解するためのさらなる手助けとなるでしょう。2006年には惑星のカテゴリーから外され太陽系外縁天体に分類されてしまった冥王星ですが、その姿はまだまだ謎だらけです。
Image Credit: NASA
■What We’ve Learned About Pluto
http://www.nytimes.com/interactive/2016/03/17/science/pluto-images-charon-moons-new-horizons-flyby.html
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