星の赤ちゃんは周りのガスを食べて成長します

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宇宙に散らばる無数の「」にも、誕生から寿命までの一生があります。上の画像は国立天文台ハワイ観測所の研究チームがアルマ望遠鏡で捉えた「星の赤ちゃん(原始星):TMC-1A」と、その周囲のガス円盤に向かって流れこむガスの画像です。通常、星はこのようにして周囲のガスが流れ込むことにより成長します。まるで、赤ちゃんが大きくなるために栄養をとっているみたいですね!
 
星の誕生は宇宙に存在するガスの「分子雲」が重力で集まることによって始まります。やがてその中心のエネルギーが高まり、原始星が誕生します。原始星の回りではガスが円盤を作り、また同時に原始星はジェットを吹き始めます。画像の白い部分は吹き出すガス流を合成したものです。また下の動画はTMC-1Aのガス円盤の動きをイメージしたものですが、ガスが円盤状に集まってくる様子がよくわかります。
 
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=WvfkZCynWK0[/youtube]  
そして今回の原始星を捉えたアルマ望遠鏡ですが、これは1枚の大きな反射鏡ではなく66台のパラボナアンテナが集まった「ミリ波・サブミリ波干渉計」となっています。移動可能なパラボナアンテナを展開して運用することで、アンテナを16kmの距離で展開すれば直径16kmの電波望遠鏡に相当する分解能が実現可能です。この解像度は宇宙に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡よりもずっと高いものとなっています。
 

Antennas of the Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA), on the Chajnantor Plateau in the Chilean Andes. The Large and Small Magellanic Clouds, two companion galaxies to our own Milky Way galaxy, can be seen as bright smudges in the night sky, in the centre of the photograph.
 
またアルマ望遠鏡はミリ波やサブミリ波を観測することで、低温〜超低温の天文活動を観測することができます。例えば星々の間に広がるガスなどは摂氏マイナス270度ほどと超低温ですが、アルマ望遠鏡はそのようなガスの観測も可能です。ですので、今回のようにガスが集まってできる原始星の仕組みを解明するにはピッタリな望遠鏡なんです。
 
なお、今回の観測を行った東京大学大学院の麻生有佑氏によると、TMC-1Aの回りのガス円盤は「惑星の母体」なんだそうです。地球も昔はあんなふわふわのガスだったのかな…なんて想像すると、なんだか不思議な気分になりますね。
 
Image Credit: ALMA, ESO
■ハワイ観測所の大学院生がアルマ望遠鏡により原始星円盤へのガス流入を解明
http://subarutelescope.org/Topics/2016/03/09/j_index.html