「超大質量ブラックホール」がガス雲を食べる様子、ALMA望遠鏡が初観測

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この宇宙の神秘のうち、最も魅力的なものの一つはブラックホールでしょう。ブラックホールは宇宙のさまざまな場所にありますが、今回天文学者が観測したのは「超大質量ブラックホールがガス雲を食べる様子」です。
 
今回の観測はチリにあるALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)にて、国際チームによって行なわれました。そして観測の結果より3つのガス雲が時速130万kmでブラックホールに取り込まれていることが判明します。

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上の画像は銀河団「Abell 2597」を捉えたものです。この非常に明るい銀河団は9万7000光年にわたる内部にイオン化した温かいガスや、冷たい分子性のガスを内包しています。これらのガスの質量は太陽の18億倍という膨大なもの。そして、銀河団のほぼ中央には太陽の質量の3億倍という超大質量ブラックホールがあるのです。

一酸化炭素を主成分とするこのガス雲は、ブラックホールから300光年の場所に位置しています。今回の観測についてカーディフ大学のTimothy Davis氏は、「このようにガス雲がブラックホールに向かって融合する様子が観測できたのは素晴らしいことです。今回の観測は超大質量ブラックホールがどのように成長するのかについて、より多くのことを教えてくれます」と語っています。

通常、ブラックホールは光や電波を飲み込んでしまうので直接観測することはできません。しかし、ブラックホールに向かって流れこむ物質が非常に高温に加熱され、その様子を観測することでブラックホールの活動を知ることができるのです。今後X線天文学や重力波天文学の発展により、ブラックホールの真の姿が解き明かされていくことでしょう。

 
Source: Space.com