3月9日にアジア地域で観測された「皆既日食」。残念ながら日本で観測できるはずだった部分日食は、悪天候で見ることができなかった人も多いと思います。しかし、宇宙からなら話は別。以前にも気象衛星「ひまわり」が捉えた日食の影をご紹介しましたが、今回は2007年に太陽観測衛星「ひので」が捉えた「X線による皆既日食の映像」をご紹介したいと思います。
太陽から吹き出すコロナと、息を潜めるように存在する黒点。そしてその上を移動する月の陰…。素晴らしい宇宙スペクタルです。こんな光景を一度は見てみたいと思うのですが、このような太陽の活動は皆既日食の一瞬か、あるいはX線でしか捉えることはできません。
動画で太陽の回りをふわふわと覆っているのは「コロナ」というガス層です。太陽の表面温度が約6,000度なのに対し、コロナの温度は100万度以上もあります。そしてコロナの光は非常に弱く地球の大気にも影響されてしまうので、その観察には人工衛星に搭載されたX線望遠鏡を利用します。
2016年2月17日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)からX線天文衛星「ひとみ」が打ち上げられました。X線望遠鏡は非常に大きなエネルギー活動を観察できることから、ひとみはブラックホールなどの謎を解明することが期待されています。普段はあまり意識しない人工衛星の活動ですが、こんなふうに美しい映像を届けてくれるとまた応援したくなってしまいますね!
Image Credit: 国立天文台
Source: X線で見た皆既日食