東京大学宇宙線研究所、国立天文台、高エネルギー加速器研究機構が建設を進めていた大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」(かぐら)の観測がいよいよ始まろうとしている。KAGRAは重力波の検出を目指した望遠鏡で、もし検出ができれば、今とはまったく違う世界が見えるようになるのではという期待がかけられている。
重力波は、時空が振動し、光の速度で伝播する現象のことで、別名「時空のさざ波」とも呼ばれている。かつてアルバート・アインシュタインの一般相対性理論の中で、その存在が予言されたものの、これまでに直接検出されたことはない。
KAGRAは、旧神岡鉱山(岐阜県飛騨市神岡町)内の地下200mよりも深いところに掘削された地下トンネル空間で建設が進められ、11月6日に重力波の観測に必要な第一期実験施設がほぼ完成した。今後、装置の調整を行ったのち、2015年度中に重力波の試験観測を行う予定となっている。
さらに性能を高めた第二期実験施設が完成する2017年度には、重力波の本格観測が始まり、世界初の重力波直接観測を目指すという。
また、すでに米国や欧州でも重力波望遠鏡が建設されており、観測が進められている。しかし、実際に検出したことを証明するには、1台だけでは心もとないことから、KAGRAを含めた複数台の重力波望遠鏡のデータを持ち寄り、信号の信頼性を高めることが必須となっている。
将来は、これらの重力波望遠鏡が観測ネットワークを構成し、重力波天文学を創生することが目指されている。
Image Credit: 東京大学宇宙線研究所/国立天文台
■大型低温重力波望遠鏡KAGRAの運転開始迫る! | 国立天文台(NAOJ)
http://www.nao.ac.jp/news/topics/2015/20151116-kagra.html