月遷移軌道から落下した人工物?天体?「WT1190F」の映像をお届け

アブ・ダビのIAC(International Astronomical Center)は2015年11月13日、この日地球に落下した天体「WT1190F」の、大気圏突入時の様子を捉えた動画をYouTubeで公開しました。

WT1190Fは今年10月3日に発見された天体で、発見当時、地球の重心から最も近い点(近地点)5732km、最も遠い点(遠地点)60万7773kmの、地球の衛星軌道を周回していました。大きさは2mほどと推定されています。また軌道の分析により、自然の天体としては密度が小さいことが判明しており、過去に月や惑星に向けて探査機を打ち上げたロケットの、タンクやパネルといった人工物ではないかと考えられています。

WT1190Fは15時18分ごろ(日本時間)に、スリ・ランカの南のインド洋上で大気圏に突入。ほとんどは燃え尽きたと考えられており、またこれまでのところ、地上への被害も報告されていません。

月遷移軌道から人工物と思われる天体が落下することは珍しく、またその軌道や突入日時が事前にわかることもきわめて稀なため、この天体の追跡と観測にNASAや欧州、アラブ首長国連邦などの大学や研究機関などが共同観測に挑みました。

観測で得られた映像やデータは、将来の小惑星や、スペース・デブリ(宇宙ゴミ)の大気圏突入時の動きを予測を改善することなどに役立てられます。

 

編集/sorae編集部

参考文献・出典

  • Image Credit: IAC/UAE/NASA/ESA
  • WT1190F Reentry on 13 November 2015 - YouTube