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米空軍の第50宇宙航空団は7月20日、今年2月3日に起きた、米空軍の気象観測衛星「DMSPフライト13」(DMSP F13)が破裂した事件について、バッテリーに問題があったとする結論をまとめ、発表した。

DMSP F13は今年2月3日に突如として破裂し、多くの破片を撒き散らす事態となった。破片の数は現在までに147個まで確認されており、その大半が今後、数十年にわたって軌道上にとどまり続けると見られている。

発表によると、衛星の破裂はバッテリーの爆発によって起きたと推定。またその原因は、配線を留めていたハーネスが外れ、配線がバッテリーに触れて短絡(ショート)を起こし、バッテリーが過充電状態となり最終的に爆発した、と分析している。

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同様の設計は「DMSP-5D2」と呼ばれるブロックで採用されており、DMSP F6からF14までの9機がそれにあたる。このうち、現在も運用状態にあるのはF14のみだが、米空軍では今のところ問題が起きている兆候は見られないという。

また米空軍によると、短絡のリスクは衛星の運用終了後も残り続けるという。現在、軌道上にはF14を含めて6機の衛星が残っており、これらのバッテリーがF13のように爆発する可能性もあるということになる。

DMSPは米空軍の気象衛星で、米海洋大気庁(NOAA)によって運用が行われている。DMSPは複数の衛星によって構成されたシステムで、世界各地の天気を情報を集め、米軍の活動などに利用されている。現在主力となっているのは、1999年から2014年にかけて打ち上げられたDMSP F15、16、17、18、19の5機だが、これらはDMSP-5D2から改良された「DMSP-5D3」というブロックの衛星であり、今回のような問題が起こる危険性はないという。

DMSP F13は1995年3月24日、アトラスEロケットによって打ち上げられ、高度800kmの、地球を南北に回る太陽同期軌道で運用されていた。設計寿命は4年だったが、それを大きく超えて運用が続けられた。2006年からは定常運用からはずれ、他の衛星が故障した際に備え、バックアップ運用に就いていた。

バッテリーの爆発は今年2月3日に起きたが、米空軍は当初、その情報を発表しなかった。2月26日になり、一般の宇宙愛好家らによって、軌道上に大量のスペース・デブリ(宇宙ごみ)が生成されたことが観測され、その軌道から発生源はDMSP F13らしいということが推測された。その後、米空軍は公式に、DMSP F13が破裂した事実を発表した。

米空軍では、DMSP F13の破裂によって発生した破片の追跡を続けており、その数は現時点で147個で、その大きさは野球ボール大からバスケット・ボール大まで、大小さまざまだという。これらは高度300kmから1200kmまでの範囲に散乱しているとされる。

今のところ、これらの破片が他の衛星などと衝突する危険性はないとしているが、破片の大半は、今後数十年にわたって軌道上にとどまり続けることになるため、いずれ何らかの事故の原因となる可能性がないわけではない。

また、この147個という数は、あくまで米空軍が追跡可能な大きさの破片のみの数であり、より小さな破片については数や軌道は不明である。サウサンプトン大学の試算によると、1mm大のものまで含めると、その数は5万個にもなるとされる。

 

■NEWS RELEASE: 50 SW Completes DMSP Flight 13 Rupture Review
http://www.schriever.af.mil/news/story.asp?id=123453838

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