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中華人民共和国は7月25日、航法衛星「北斗M1-S」、「北斗M2-S」の2機の同時打ち上げに成功した。新開発の上段「遠征一号」が使用されたのは今回で2回目、また衛星の2機同時打ち上げは初となった。

ロケットは北京時間2015年7月25日20時29分(日本時間2015年7月25日21時29分)、西昌衛星発射センターの2号発射台から離昇した。

飛行の詳細は不明だが、中国政府や中国国営メディアなどは、打ち上げから約3時間半後にロケットから衛星が分離され、打ち上げは成功したと発表している。また、米軍が運用する宇宙監視ネットワークも、2機の北斗や遠征一号と思われる物体を探知しており、打ち上げ成功が裏付けられている。

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北斗は、米国のGPSやロシアのGLONASS、欧州のガリレオのように、人工衛星を使って世界のどこでも正確な位置や時刻を知ることができるシステムで、目下、構築が進められている。すでに、2012年から中国周辺限定ではサーヴィスが始まっている。民間向けと中国人民解放軍向けで異なる電波を出しており、民間向けの測位精度は10mほどとされる。軍向けの精度はより高いと思われるが、数値は明らかにされていない。

システムを構成する衛星は、高度約2万1500km、軌道傾斜角約55度の中軌道と、高度約3万5800km、軌道傾斜角約55度の傾斜対地同期軌道、そして高度約3万5800km、軌道傾斜角約0度の静止軌道の、大きく3種類の軌道に配備される。今回打ち上げられた2機は、中軌道に投入されている。今後、2020年までに中軌道に27機、静止軌道に5機、傾斜対地同期軌道に3機の、計35機が配備され、全世界での測位が可能となる予定となっている。

今回打ち上げられた北斗は、システムを構成する衛星の18、19機目にあたる。衛星の世代としては第3世代(北斗三号とも呼ばれる)にあたり、中軌道に打ち上げられた初の第3世代機でもあった。第2世代機では、中軌道衛星と傾斜対地同期軌道衛星は同じ設計のものが用いられていたが、第3世代機では中軌道、傾斜対地同期軌道、静止軌道のすべてで異なる設計が採用されている。

今回打ち上げられた中軌道向けの北斗を製造したのは中国空間技術研究院(CAST)で、想像図からは新開発の衛星バスが使われていることが見て取れる。打ち上げ時の質量は800kg、設計寿命は5年とされる。詳しい性能については明らかにされていないが、おそらく搭載されている機器の性能は上がっているものと思われる。

今回の打ち上げでは、「遠征一号」と呼ばれる新型の上段が使用された。遠征一号は2回の再着火が可能なエンジンを持ち、軌道上で6.5時間にわたって運用することができるとされる。これにより、複数の衛星をそれぞれ異なる軌道へ送り届けたり、衛星を最終的に運用される軌道に直接投入したりといった芸当が可能となる。

これまで北斗や他の静止衛星の打ち上げでは、長征ロケットはその一歩手前のトランスファー軌道にしか衛星を投入できず、最終的な目標地の軌道への移動には衛星のスラスターを使うしかなかった。衛星の燃料を消費するため、その分運用が可能な期間が短くなっていたが、遠征一号を使うことで、それが改善されることになる。また開発中の大型ロケット「長征五号」と組み合わせれば、北斗を4機同時に打ち上げることも可能だという。

遠征一号は、今年3月の北斗衛星17号機(傾斜対地同期軌道向けの第3世代機の1号機)の打ち上げで初めて使用され、今回で2回目となる。また、複数の衛星を搭載して打ち上げられたのは今回が初となる。

 

■长三乙/远征一号火箭成功发射北斗双星_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n214/c997547/content.html

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