Delta IV launches WGS-7
Image Credit: ULA
 ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は米国時間7月23日、米空軍の軍事通信衛星「WGS-7」を搭載した、デルタIVミディアム+(5,4)ロケットの打ち上げに成功した。
 ロケットは米東部夏時間2015年7月23日20時7分(日本時間2015年7月24日9時7分)、フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーション(CCAFS)の第37B発射台から離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約42分後に衛星を計画通りの軌道に投入した。
 WGSは米空軍によって運用される軍用の通信衛星で、米国防総省やオーストラリア国防省などが使用する。衛星は2007年から打ち上げが始まり、今回で7号機目となる。最終的に10号機まで打ち上げられる計画となっている。WGSとは「Wideband Global SATCOM」を略した名前である。
 衛星の製造はボーイング社が担当した。打ち上げ時の質量は約5.9トン、設計寿命は14年が予定されている。
 ロケットからの分離時点で、衛星は近地点高度約441km、遠地点高度6万6870km、軌道傾斜角24度の、スーパーシンクロナス・トランスファー軌道と呼ばれる軌道に入っている。今後衛星は、自身のスラスターを使用し、運用を行う静止軌道へ向けて移動することとなっている。
 スーパーシンクロナス・トランスファー軌道という、少し特殊な軌道であった。多くのロケットは静止衛星を打ち上げる際、静止トランスファー軌道という、静止衛星の一つ前の軌道に送り届ける。静止トランスファー軌道は、遠地点(地球から最も遠い位置)が静止軌道の高度である3万6000kmと同じだが、近地点(地球に最も近い位置)と、軌道傾斜角(赤道からの傾き)はずれていることが多く、そこから静止軌道に乗り移るには、人工衛星がスラスターを噴射するしかない。しかし、衛星にとって推進剤の残量は多ければ多いほど運用期間を延ばすことができるので、なるべく噴射を少なくしたいという事情がある。
 そこで使われるのがスーパーシンクロナス・トランスファー軌道で、通常の静止トランスファー軌道とは異なり、遠地点高度が3万6000kmよりもはるかに高くなる軌道(たとえば今回のミッションでは6万6870km)に衛星を乗せる。すると、衛星がもつ運動エネルギーの多くが、遠地点では位置エネルギーに変換されるため、軌道傾斜角0度への変更(運動方向の変更)が、通常の静止トランスファー軌道から行うよりも少ない燃料で可能となる。もちろん最終的に、遠地点高度を静止軌道の3万6000kmまで下げる必要はあるものの、トータルで見ると燃料消費量は少なく済む。
 デルタIVはボーイング社が開発したロケットで、同社とロッキード・マーティン社によって設立されたULA社によって運用されており、主に軍事衛星やNASAなど、米政府系の衛星の打ち上げに使用されている。ブースターの本数やフェアリングの大きさを変えることで多種多様な衛星の打ち上げに対応でき、その中でも第1段機体を3基束ねたデルタIVヘヴィと呼ばれる構成は、現在世界で運用されているロケットの中で最も強力な打ち上げ能力を持つ。
 打ち上げ数は今回で30機目で、2004年にデルタIVヘヴィ構成の機体が、衛星を予定よりも低い軌道に投入してしまった以外は、安定した打ち上げを続けている。
 今回打ち上げに使用されたデルタIVはデルタIVミディアム+(5,4)と呼ばれる構成で、直径5mの衛星フェアリングと第2段を持ち、4基の固体ロケットモーターを装備している。
 また、従来デルタIVの第1段に使われていたRS-68ロケット・エンジンに代わり、改良型のRS-68Aが使用された。RS-68Aはターボ・ポンプやインジェクターが改良されており、RS-68と比べて推力や燃焼効率が向上している。
 RS-68Aは2008年から開発が始まり、2011年に完成した。初めて打ち上げで使用されたのは、2012年6月29日のデルタIVヘヴィ・ロケットのときで、今回が2例目となった。今後はすべてのデルタIVの第1段にRS-68Aが使用される予定となっている。
■United Launch Alliance Successfully Launches WGS-7 – United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-successfully-launches-wgs7.aspx?title=United+Launch+Alliance+Successfully+Launches+WGS-7&Category=News

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