New Horizons and Pluto
Image credit: NASA
 米航空宇宙局(NASA)は7月7日、先日通信に一時的な障害が生じた冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」について、現地時間7日昼すぎ(日本時間8日未明)に通常の運用に復帰させると発表した。停止されていた科学観測も再開され、14日に予定されている冥王星への最接近に備えた準備は最終段階に入った。
 NASAによると、通常運用への復帰は米東部夏時間2015年7月7日12時34分(日本時間2015年7月8日1時34分)に予定しているという。なお現在、探査機と地球との距離は約49億kmも離れており、通信には片道4時間半ほどがかかるため、実際に通常運用が再開されたことがわかるのは日本時間8日早朝以降となる見込みだ。
 また、通常運用再開に伴い、冥王星やその衛星、太陽風の観測も再開され、徐々に近付く冥王星と衛星、そしてその周囲の環境の姿が明らかになることが期待される。
 ニュー・ホライズンズは東部夏時間7月4日13時54分(日本時間7月5日2時54分)、通信ができなくなるという問題が発生した。1時間21分後に通信は回復したものの、必要最低限の機能のみを動かす「セーフ・モード」に入っていた。これは探査機に搭載されているコンピューターが問題を検知したことで、自動的にメインのコンピューターから、バックアップのコンピューターに切り替えられたためだという。
 NASAによると、4日にセーフ・モードに入った原因は、冥王星との邂逅に向けた準備の中で探査機にコマンド(指令)を連続して送ったこと、またちょうどそのとき科学データの圧縮を行っていたこともあり、コンピューターが過負荷状態となったことが原因だという。
 コンピューターが過負荷状態になると、探査機はそれを異常と判断し、自動的にバックアップ・コンピューターに切り替えてセーフ・モードに入るように造られている。今回の探査機の反応は、問題に対して正常な判断を下したということを意味している。NASAの惑星科学計画の責任者を務めるJim Green氏は「私たちは今回の異常に対するニュー・ホライズンズの反応を非常にうれしく思います。現在私たちは科学観測に再開し、まだ見ぬ成果を得る準備をすることを熱望しています」と語った。
 また、通常運用に復帰するまでのこの3日間に、今月4日から16日の間に予定されていた科学観測のうち、30個ほどが行えなかったという。ただ、これは計画全体の1%にも満たない損失であり、全体への影響は微々たるものであるとしている。
 ニュー・ホライズンズの主任研究員を務めるAlan Stern博士は「今回の問題は、ニュー・ホライズンズの歴史的なミッションから得られるであろう多くの成果にとって、言わば減速帯にちょっと引っかかったようなものです。史上初となる冥王星の表面の鮮明な画像が得られた際には、皆さんはきっとびっくりすること請け合いです」と語った。
 ニュー・ホライズンズは、約1週間後の日本時間2015年7月14日20時49分57秒7月14日に、冥王星に最接近する。なお、冥王星への最接近時までに、今回の問題が起きたきっかけとなったような運用は予定されていないため、同じ問題が再発するリスクはまったくないという。 
 ニュー・ホライズンズは2006年に打ち上げられ、冥王星と、その周囲を回る5つの衛星の観測を目指し、9年間にわたって宇宙を航行し続けている。7月14日に冥王星と衛星カロンに最接近した後は、その際に得られたデータを地球に送信しつつ、太陽系外縁のエッジワース・カイパーベルト天体の探査に向けて航行を続ける。そしてゆくゆくはヴォイジャー1のように太陽圏を抜け、星間空間へ飛び出す予定となっている。
写真=NASA。
■NASA’s New Horizons on Track for Pluto Flyby | NASA
http://www.nasa.gov/feature/nasa-s-new-horizons-on-track-for-pluto-flyby

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