宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月12日、X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)につて、6月1日の運用以来、衛星の動作状況を知らせる通信が間欠的にしか確立できない状態が続いていると発表した。今後数か月をかけて復旧を目指すという。

JAXAによると、現時点で原因は、バッテリーの劣化による電力不足に起因するものと推測されているという。「すざく」はすでに目標寿命の2年を大幅に超え、約10年にもわたって運用され続けていることから、バッテリーの劣化が進んでおり、以前からバッテリーの使用方法を工夫しながらの運用が続けられていた。

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現在「すざく」は衛星の電源が失われて姿勢制御ができず、およそ3分間に1回の周期で無制御にスピンしている状態だと推定されている。バッテリーが機能していないため、衛星の太陽電池パドルに日が当たっている時間だけ衛星の電源が入り、太陽電池パドルに日が当たらなくなると直ちに衛星電源が切れるという状況だという。

現在は、衛星から間欠的に送られてくる動作状況を知らせる通信データの蓄積から、衛星の状況の把握に努めているという。また今後、少なくとも1~2か月間にわたって正常観測への復帰を目指す試みを行うとし、まずは姿勢の安定と、安定した電源を確保する方法を模索するとしている。

「すざく」は日米の国際協力で開発されたX線天文衛星で、2005年7月10日に、内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケット6号機で打ち上げられた。当初、目標寿命は2年とされていたが、それをはるかに超える約9年にわたって観測データを取得し続け、銀河団外縁部に至るX線スペクトルを初めて測定するなど、様々な成果をあげている。

また現在、「すざく」の後継機となる新しいX線天文衛星「ASTRO-H」の開発が進められており、2015年度中の打ち上げが計画されている。

 

■JAXA | X線天文衛星「すざく」の状況について
http://www.jaxa.jp/press/2015/06/20150612_suzaku_j.html

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