Falcon 9
Image credit: U.S. Air Force
 米国空軍は5月26日、スペースX社の「ファルコン9」ロケットによる軍事衛星の打ち上げを認可すると発表した。これまで軍事衛星の打ち上げはユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社の独擅場の状態にあったが、スペースX社が参入することでこれが崩れ、両社による競争が始まることになる。
 スペースX社ではかねてより、軍事衛星の打ち上げの認証を受けるための取り組みを続けており、3回の打ち上げ実証をはじめ、各システムの技術情報などを提供していた。米空軍では6000万ドルと150人の人員を投じ、約2年間にわたって、ファルコン9が軍事衛星を打ち上げるのに十分な能力を持つかどうかの審査を続けていた。
 今回認可が下りたことで、スペースX社は今年6月に発表される、次世代のGPS衛星「GPS III」の打ち上げ入札から参加が可能になるという。
 軍事衛星の打ち上げは、これまでボーイング社とロッキード・マーティン社が共同で設立したULA社が独占していた。しかしスペースX社はかねてより、この独占は不当なものであるとして、市場開放するよう要求しており、たびたび論争となり、2014年にはスペースX社が米空軍を提訴する事態にもなっていた(その後提訴は取り下げられている)。また、ULA社のロケットは基本的にファルコン9よりも高価であり、特にアトラスVロケットは第1段ロケット・エンジンがロシア製であることも非難の対象となっていた。
 スペースX社がこの分野に参入することで、ULA社による独占が崩れ、GPS衛星などの打ち上げを巡って、両社による受注競争が始まることになる。
 スペースX社のファルコン9はこれまでに18機が打ち上げられており、米航空宇宙局(NASA)との契約に基づく、国際宇宙ステーションへの補給船の打ち上げや、安価な打ち上げ価格を武器に、米国内外の企業から受注した商業衛星の打ち上げを行っている。
 一方、ULA社が現在運用するアトラスVやデルタIVは、打ち上げ回数こそファルコン9より多いものの、価格では負けている。だが、4月にはさまざまな新技術を盛り込んだ新型の「ヴァルカン」ロケットの開発を発表し、スペースX社への対抗に本格的に乗り出している。
 米空軍のデボラ・リー・ジェイムズ長官は「これは空軍と米国防総省にとって、非常に重要なマイルストーンです。スペースX社が打ち上げ提供者として出現したことで、この10年間において初めて、軍事衛星の打ち上げに競争の機会が訪れました。これは最終的に、打ち上げにかかるコストの低減につながり、またわが軍の力を高めることになります」と述べた。
 またスペースX社のイーロン・マスクCEOは「これは国家の安全保障にかかわる衛星の打ち上げの競争に向けた、重要なステップです。私たちは米空軍から信頼を得たことに感謝を述べると共に、打ち上げサーヴィスを提供できることを楽しみにしています」と述べた。
■Air Force’s Space and Missile Systems Center Certifies SpaceX for National Security Space Missions > U.S. Air Force > Article Display
http://www.af.mil/News/ArticleDisplay/tabid/223/Article/589724/air-forces-space-and-missiles-system-center-certifies-spacex-for-national-secur.aspx

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