Progress M-27M
Image credit: RKK Energiya
 ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は6月1日、4月末に起きた「プログレスM-27M」補給船の事故原因を特定したと発表した。
 プログレスM-27Mは4月28日、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた後、制御不能の状態に陥り、国際宇宙ステーションとのドッキングを断念することになった。その後大気との抵抗で徐々に高度を下げ、5月8日に太平洋の上空で大気圏に再突入した。この事故によるISSの運用への影響はほとんど出ておらず、また他の衛星や、地上の人家などへの被害も出ていない。
 発表によると、事故から得られたデータや、実機を使った実験の結果、プログレスM-27Mと、それを打ち上げたソユーズ2.1aロケットの第3段機体とが結合した状態における動特性に問題があり、プログレスM-27Mのロケットからの分離が正常に行われなかったことがわかったという。
 この言葉はおそらく共振のことを指していると思われる。ロケットの第3段とプログレスM-27Mが結合した状態において、何らかの理由で振動が始まり、それが両者が結合された状態での固有振動数と一致していたことから振動が増幅され、その結果両者は異常な分離に至ったと考えられる。またロスコスモスの発表には記載されていないものの、おそらくはこの異常分離によってプログレスM-27Mの機体が損傷を受け、制御不能に陥ったと思われる。
 あらゆる物体は振動しやすい固有の振動数(固有振動数)を持っており、それと同じ、もしくは近い振動数を外部から加えると、その物体は自発的に振動を始める。これを共振という。たとえば、ギターの音が鳴ったり、冷蔵庫の上に設置した電子レンジが震えだしたりといったことは、すべてこの共振が関係している。
 特に液体燃料ロケットでは、「ポゴ振動」と呼ばれる、エンジン内の圧力や推進剤の流量の変動に起因するロケット全体の縦振動現象が起こることが知られており、もしこの振動が、そのロケットの持つ固有振動数と一致すれば、振動は増幅され、機体を破壊することさえある。今回のプログレスM-27Mの事故が、このポゴによって起きたかは不明だが、一般的にポゴはロケット・エンジンの燃焼が終わった際に起こることが多い。
 ロスコスモスの発表では、ソユーズ2.1aロケットとプログレスM-M補給船の開発において、この問題は十分に考慮されなかったとしている。また、ソユーズ2.1aと他の宇宙機と組み合わせでは、この振動問題が起こることは確認できなかったという。
 ソユーズ2.1aロケットは2004年に初の試験打ち上げが行われ、本格的な運用が始まったのは2006年からと、比較的新しいロケットである。従来のソユーズ・ロケットと比べると、ロケット・エンジンや搭載機器、質量などに違いがある。特に、今回問題が起きた第3段機体には大きく手が加えられている。
 また、今回失敗したのと同じプログレスM-M型の補給船も、2008年に初めて打ち上げられたばかりのまだ比較的新しい宇宙機で、こちらも従来のプログレス補給船から改良されており、搭載機器や質量などに違いがある。なお、同様の改良は後にソユーズ宇宙船にも適用され、そうして開発されたソユーズTMA-M宇宙船は2010年から運用が始まっている。油井宇宙飛行士らが乗るのは、この新しいソユーズTMA-Mの17号機だ。
 また従来、プログレスM-Mを含むすべてのプログレス補給船の打ち上げは、旧型のソユーズUロケットが担っており、プログレスM-M型をソユーズ2.1aによって打ち上げたのは、2014年10月29日が初めてのことで、今回がまだ2回目にすぎなかった。1回目の飛行では何らかの事情で問題は発生しなかったものの、2回目の今回になってついに出現した、ということになる。
 ロスコスモスでは、ソユーズ2.1aとプログレスM-Mの組み合わせによる打ち上げ試験の実施を計画しているという。また6月9日までに、今後のプログレス補給船やソユーズ宇宙船の打ち上げ計画を決定したいとしている。油井宇宙飛行士らが乗るソユーズTMA-17Mの打ち上げ日も、このときに発表される見込みだ。
■РОСКОСМОС: «ПРОГРЕСС М-27М» – ОПРЕДЕЛЕНА ПРИЧИНА АВАРИИ
http://www.roscosmos.ru/21513/

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