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Image credit: NASA
 5月16日に発生した、プログレスM-26M補給船による国際宇宙ステーション(ISS)の軌道修正の失敗について、ロシアのタス通信は日本時間同日夜、モスクワ時間5月18日の夜に再度、軌道修正が試みられると発表した。
 記事によると、18日の再試行では、プログレスM-26Mの姿勢制御スラスターのうち4基のみが使用されるという。失敗した16日の際には8基が用いられていた。
 プログレス補給船を使った軌道修正では、推力の大きなメイン・スラスターを使うと、ドッキング面への負荷が大きくなるため、8基、ないしは4基の姿勢制御スラスターが同時に噴射される。
 また、16日の失敗の理由はおおよそ判明しているが、結論を出すにはもう少し時間がかかるという。
 16日の失敗は、プログレスM-26Mのスラスターが、何らかの事情で噴射しなかったために起きた。ロシアのミッション管制センター(ツープ)が事前に発表していた計画では、今回のリブーストはモスクワ時間2015年5月16日4時14分(日本時間2015年5月16日10時14分)から、プログレスM-26Mのスラスターを901秒間にわたって噴射することとされていた。これについて、ロシアのインターファクス通信によると、ISSのロシア側モジュールに搭載されているコンピューターから、何らかの理由で、スラスターの噴射を止める指令が出されたという。
 人工衛星は大気との抵抗で徐々に高度を下げており、特に巨大な建造物であるISSはよりその影響が大きくなるため、定期的にISSの後部にドッキングしている補給船のスラスターを噴射して、軌道を持ち上げる必要がある。これを「リブースト」(Reboost)と呼ぶ。
 今回のリブーストは、来月上旬に予定されている、ソユーズTMA-15M宇宙船の地球帰還に向けたドッキング解除に備えたものでもあった。この失敗で、帰還の日程に影響が出るかは不明だ。また今月21日には、ISSに係留中のドラゴン補給船運用6号機の離脱も計画されているが、こちらも影響が出るかはまだ不明である。
 リブーストは、ISSの進行方向から見て後部の位置にあるズヴィズダー・モジュールにドッキングできるプログレス補給船でしか実施できない。かつては欧州の無人補給船ATVもリブーストを担っていたが、すでに引退している。また、ズヴィズダー・モジュールはロシア製で、ドッキング・システムの規格の違いから、米国や日本の補給船はドッキングできない。
 ズヴィズダー・モジュール自体にもスラスターは装備されているが、ズヴィズダーは2000年に打ち上げられたモジュールですでに老朽化が進んでおり、またスヴィスダーのスラスターを使ったリブーストは2007年を最後に行われておらず、スラスターの健全性や、推進剤の残量などから、今現在でも噴射が可能かどうかは不明だ。
 また、先日プログレスM-27M補給船が事故によりISSにドッキングできなかったことから、現在リブーストできる船はプログレスM-26Mしかない。もしプログレスM-26M側に何らかの問題があり、リブーストが不可能ということであれば、次の新しいプログレス補給船であるプログレスM-28Mの打ち上げを待つ必要がある。今のところ打ち上げは7月上旬ごろとされるが、プログレスM-27Mの失敗原因が特定されていない以上、さらに遅れる可能性もある。
 ISSは現在、高度395kmから410km前後の軌道を周回している。大気との抵抗で降下する率は月平均で数kmほどであり、今回のリブーストが失敗したことで、すぐにでもISSが地球に落下するということはなく、新しいプログレスを用意するだけの余裕はあるだろう。
 ただ、今後の運用計画に影響が出る可能性はあり、またスペース・デブリ(宇宙ごみ)との衝突の危険がある際の回避行動もできないため、一刻も早くリブーストを可能な状態にすることが必要となる。
写真=NASA。
■ТАСС: Космос – ЦУП готов провести новую попытку коррекции орбиты МКС в ночь на понедельник
http://tass.ru/kosmos/1973503

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