ドニエプル・ロケット、韓国の地球観測衛星「アリラン3A号」の打ち上げに成功

Dnepr launches Arirang-3A
Image credit: Ministry of Defence of the Russian Federation
 ISCコスモトラス社とロシア戦略ロケット部隊は3月26日、大韓民国の地球観測衛星「アリラン3A号」を搭載したドニエプル・ロケットの打ち上げに成功した。
 ロケットは現地時間2015年3月26日3時8分46秒(日本時間2015年3月26日7時8分46秒)、ロシアのアリンブールク州にあるヤースヌィ発射場の地下サイロから発射された。ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約15分後に衛星を分離した。
 その後、13時03分49秒(韓国標準時、日本時間同じ)に、韓国航空宇宙研究院(KARI)が保有する地上局との交信にも成功している。
 アリラン3A号(KOMPSAT-3A)はKARIが運用する地球観測衛星で、電子光学センサー(高性能なデジタル・カメラ)を搭載し、地表を撮影することを目的としている。撮影されたデータは、国防や、環境や農業、海洋の監視、災害対策などに利用される。
 アリラン3A号は、2012年に日本のH-IIAロケットで打ち上げられたアリラン3号の姉妹機ではあるが、電子光学センサーの解像度は3号の70cmから55cmに向上しており、また新たに解像度5.5mの赤外線センサーを搭載し、夜間の撮影や、山火事など高熱を発する現象の観測も可能になっているなど、大幅に機能が強化されている。衛星の寸法は直径2m、高さ3.8m、幅6.3mで、打ち上げ時の質量は1100kg。高度530kmの太陽同期軌道で運用され、設計寿命は4年間が予定されている。
 開発には韓国航空宇宙産業(KAI)とAP宇宙航空コンソーシアムを中心に、大韓航空、ハンファ、トゥウォン重工業、サムスンタレス社などが参画しており、またフォーカル・プレーン・アレイと呼ばれる、電子光学センサーにとって重要な部品のひとつの開発・製造にはドイツ航空宇宙センター(DLR)やエアバス・ディフェンス&スペース社(旧アストリウム社)が協力している。
 アリラン・シリーズは、電子光学センサーを搭載したアリラン1号が1999年に、アリラン2号が2006年に、そして3号が2012年に打ち上げられ、また合成開口レーダー(SAR)を搭載するアリラン5号も2013年に打ち上げられている。現在は2号、3号、5号が稼動しており、今回打ち上げられたアリラン3A号と共に、地球観測の任にあたることになる。また現在、2019年の打ち上げを目指してアリラン6号の開発も進められているという。
 ドニエプルはNATOコードネームSS-18「サタン」として知られる、旧ソ連の大陸間弾道ミサイル(ICBM)R-36M UTThを衛星打ち上げ機に転用したロケットで、ISCコスモトラス社が衛星打ち上げの受注などの取りまとめを行い、ロシア戦略ロケット部隊が実際の打ち上げを執行している。初の人工衛星を搭載した打ち上げは1999年に行われ、今回で22機目の打ち上げとなった。2006年に1度失敗を経験したのみで、比較的安定した打ち上げを続けている。
 アリラン3A号を積んだドニエプルの打ち上げは、当初2014年11月25日に予定されていたが、ロシアとウクライナを巡る問題の影響で延期が繰り返された。これには、打ち上げ事業を手掛けるISCコスモトラス社がロシア、カザフスタン、ウクライナの合弁企業であることや、ドニエプルの製造を手掛けているのがウクライナの企業、一方打ち上げを指揮するのはロシアの戦略ロケット部隊であることなどが背景にあった。
 ISCコスモトラス社は今後も、ドニエプルを使った衛星の商業打ち上げを続ける方針を示しており、2016年から2017年にかけて、5回の打ち上げを行う見通しを発表している。しかし、余ったICBMを使うという点で在庫が限られていること、また改修・運用コストの増加や、毒性のある推進剤を使っているといった問題から、運用の継続には疑問の声が上がっている。さらに、ロシアとウクライナの関係が悪化していることからも、その将来は不透明なままである。
■ЗАПУСК КА «КОМПСАТ-3А»
http://www.kosmotras.ru/news/164/

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