ファルコン9ロケット、通信衛星アジアサット6の打ち上げに成功

Falcon 9 v1.1 launches AsiaSat-6
Image credit: Asia Satellite Telecommunications
 スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)社は9月7日、アジア・サテライト・テレコミュニケーションズ(アジアサット)社の通信衛星アジアサット6を搭載した、ファルコン9 v1.1ロケットの打ち上げに成功した。ファルコン9の打ち上げはこれで8機連続の成功となり、またこの2ヶ月の間に、3機を打ち上げたことになる。
 ロケットは米東部夏時間2014年9月7日1時00分(日本時間2014年9月7日14時00分)、米カリフォルニア州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-40から離昇した。当初打ち上げは0時50分(同13時50分)に予定されていたが、天候の具合が悪く、10分延期された。
 離昇後、ロケットは順調に飛行し、約32分後に衛星を静止トランスファー軌道に投入した。また、その約23分後には衛星からシグナルの受信にも成功している。今後、衛星は自身のスラスターを使って静止軌道へ移動し、また機器の試験が行われた後、商業サービスが開始される予定だ。
 なお、米国の宇宙監視ネットワークの観測によれば、現在軌道には2014-052Aと2014-052Bのふたつの物体が乗っており、このどちらかがアジアサット6で、もうひとつがロケットの第2段であるが、近地点高度が2014-052Aは約150km、2014-052Bは約160kmとなっておiる。このデータが正しいとして、計画値は185kmであったことを考えると、いくぶんか低い軌道に入っていることになる。遠地点高度と軌道傾斜角はほぼ計画通りであり、またこのあと衛星はアポジ・モーターを噴射して近地点高度を上げることになるので、大きな問題にはならないであろうが、ファルコン9の軌道投入精度に若干の疑問が残る結果となっている。これがそもそもの仕様なのか、あるいは打ち上げで何らかの問題が発生したためであるのかは、現時点では不明だ。
 アジアサット6は、米国のスペース・システムズ/ロラール社が製造した衛星で、28本のCバンド・トランスポンダーを搭載し、アジア・太平洋地域に通信・放送サービスを提供する。またタイ王国のタイコム社が、28本のCバンド・トランスポンダーのうち半分の14本を使うことになっており、通信衛星タイコム7としても運用される。
 打ち上げ時の質量は3,700kgで、東経120度の静止軌道において運用され、設計寿命は15年が予定されている。
 次のアジアサット社の衛星、アジアサット9は、現在2016年に打ち上げが予定されている。ただし、アジアサット8や6よりも大きな衛星であるため、プロトンMロケットでの打ち上げられる予定だ。
 ファルコン9はスペースX社によって開発されたロケットで、打ち上げ機数は今回で12機目、今年に入ってからは5機目の打ち上げとなった。ただし、6号機から使われているファルコン9 バージョン1.1には、1号機から5号機まで使われたバージョン1.0とまったく異なるロケットといえるほどの改良が施されており、実際の打ち上げ総数は7機と数えるべきであろう。
 また、前回のアジアサット8の打ち上げと同様に、今回もロケットの第1段の回収試験は行われなかったため、ロケットには逆噴射のための余分な推進剤は積まれず、着陸脚も装備されなかった。ファルコン9 v1.1は静止トランスファー軌道に公称4,850kgtの打ち上げ能力を持ち、アジアサット8の質量は4,535kg、アジアサット6は3,700kgであることから、打ち上げ能力からいえば回収試験は可能だったはずだが、アジアサット社側から実施しないようにとの申し入れがあったとされる。
 回収試験を行うということは、その分余計なリスクを抱えることになるため、それを嫌ったためであろうと推測される。ファルコン9が初めて第1段の回収試験を行ったのは、今年4月のドラゴンCRS-3の打ち上げの時だったが、この時も顧客であるNASAからは、飛行中に脚が開いたりしないようにとスペースX社に強く念押しがあったとされる。
 当初、今回の打ち上げは8月26日に設定されていたが、22日に発生したファルコン9-R試験機の事故を受け、調査のために1日延期され、27日に再設定された。しかし、27日の打ち上げもまた延期された。スペースX社によれば、22日の事故を受けて、今回打ち上げられるファルコン9を、今一度詳細に再調査をすることにしたためだという。しかし、NASASpaceflight.comなどによれば、打ち上げが延期となった実際の理由はロケットの第2段からのヘリウム漏れであったという。
 しかしそれでも、前回の打ち上げ(8月5日)からは1ヶ月ほどしか経っておらず、さらにその前のOG2衛星の打ち上げは7月14日に行われたことから、同社は2ヶ月以内に、同じロケットを3機連続で、同じ射点から打ち上げたことになる。さらに、は9月19日以降には、再び同じ発射台からドラゴン補給船運用4号機を搭載したファルコン9を打ち上げる予定だ。
■AsiaSat 6 Successfully Lifts Off
http://www.asiasat.com/asiasat/EN/upload/doc/pressrelease/news_e20140907.pdf

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