アンガラ1.2PPロケット、再び発射台へ 7月9日に打ち上げ再挑戦

Angara-1.2PP on the pad
Image credit: Ministry of Defence of the Russian Federation
 先月末、打ち上げが延期されたアンガラ1.2PPロケットが7日、再び発射台に据え付けられた。7月9日の打ち上げ再挑戦に向け、準備が始まった。
 アンガラ1.2PPの打ち上げは当初、6月27日に行われる予定だったが、離昇の1分19秒前にコンピューターが何らかの異常を検知し、打ち上げを自動的に中止させた。結局この日打ち上げは行われず、翌28日には、ノーボスチ・ロシア通信などが、ロケットが発射台から整備棟へ戻すことになるだろうと報じた。
 7月1日になり、アンガラの第1段ロケットエンジンRD-191を製造するNPOエネルゴマシュ社はプレスリリースを発表、その中で27日の打ち上げ中止の理由は、第1段の酸化剤タンクを加圧するためのガスが入った、タンクの圧力が失われたためであったことが明かされた。しかし、なぜ圧力が失われたかという原因については説明されなかった。
 一方、ロシアのインタファクス通信は、第1段酸化剤タンクのドレイン・バルブが開放状態のままであったことが原因であったと報じた。アンガラの酸化剤である液体酸素は、タンクに充填するそばから気化してしまうため、そのままではタンクが破裂してしまう。そこでタンクに穴を開け、気化したガスを逃がしてやらねばらない。よく打ち上げ前のロケットから白い煙が漏れているように見えることがあるが、あれは気化した酸化剤を外に捨て、それによって周囲の水蒸気が冷やされることで見える現象だ。ドレイン・バルブは打ち上げ直前に閉じられるが、アンガラ1.2PPの打ち上げにおいて、おそらくはバルブが凍ったなどの問題により、これが閉じなかったようだ。
 そしてインタファクス通信やノーボスチ・ロシア通信、ザ・モスクワ・タイムズなどが報じたところによれば、7月7日朝、アンガラ1.2PPが再び整備棟を出て、発射台へ据え付けられたという。ロシア連邦宇宙庁やロシア国防省などから公式の発表はまだないが、各紙は7月9日に打ち上げが試みられるだろうと報じている。
 アンガラは、現在活躍中のプロトンやゼニートロケットの後継機として開発されたロケットだ。アンガラという名前は、ロシア中東部を流れるアンガラ川に由来している。
 アンガラはモジュール式であることを最大の特長としている。アンガラの第1段はユニバーサル・ロケット・モジュール(URM-1)と呼ばれ、このURM-1を何基も束ねたり、第2段(URM-2)を共有しつつ第3段を追加したりすることで、打ち上げ能力が様々なロケットを簡単に構築し、多種多様な大きさ、質量の人工衛星の打ち上げに対応できる仕組みになっている。言い換えれば、アンガラと名の付くロケットは、小型ロケットであり、中型ロケットでもあり、また大型ロケットでもあり、そして超大型ロケットにもなれるというわけだ。
 そして、もう一つの特長として完全なロシア製であることも挙げられる。プロトンはロシアのロケットではあるが一部の部品をウクライナから輸入しており、またゼニートは、エンジンはロシア製だが、ロケット自体はウクライナで製造されている。かつてウクライナはソビエト連邦の支配下にあったため何の問題も無かったが、ソ連崩壊後には独立国家となり、ロシアとウクライナの関係悪化もあり、次第にロケットの製造や運用に支障を来すようになっていた。それを受け、ロシアはプロトンの改良型として、ウクライナ製の部品を極力減らしたプロトンMを開発した。しかしゼニートではそうもいかず、ロシアからのエンジンの供給や、ウクライナでの製造で遅れが度々発生している。
 ソ連崩壊後、ロシア単独で製造、運用できるロケットの開発が決定されたのは意外に早く1992年のことであった。だが、開発は思うように進まず、90年代中にはモックアップができていた程度で、ロケットエンジンの燃焼試験が始まったのも2001年になってからだった。2004年には開発資金を得るため韓国に接近、アンガラの第1段は韓国の羅老ロケット(KSLV-1)の第1段として使われた。羅老は3機が造られ、最初の2機が失敗に終わり、最後の1機で成功した。つまりアンガラはアンガラとして打ち上げられたことはないが、第1段に限っては羅老を通じて3度の飛行経験があることになる。
 今回の初打ち上げで使われるアンガラ1.2と呼ばれる構成は、いくつかあるアンガラの構成の中で、もっとも打ち上げ能力が小さい機体だ。だが厳密には、今回打ち上げられるアンガラ1.2PPと、実際の運用で使用されるアンガラ1.2とは多少異なっており、通常のアンガラ1.2が全体の直径が同じスラリとした姿をしているのに対し、アンガラ1.2PPは第2段が膨らんだ、やや不格好な姿をしている。これは第2段に、アンガラA3やA5といった、大型ロケットの構成で使われるのと同じURM-2を搭載しているためだ。その理由については明らかにされていないが、おそらくアンガラA3やA5用の第2段の飛行データを取りたいのではないかと思われる。なおアンガラ1.2の第2段とアンガラA3、A5の第2段のエンジンは同じRD-0124Aが使われる。
■Ракету-носитель “Ангара” вывезли на стартовый комплекс – Интерфакс
http://www.interfax.ru/384434

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