Chang'e 5 Precursor
Image credit: CNSA
 中国国家航天局(CNSA)は13日、開発中の嫦娥五号飛行試験機の、熱真空試験が完了したと発表した。開発が順調に進めば、今年10月にも打ち上げられる予定だ。
 中国は現在、2017年の打ち上げを目指し、嫦娥五号の開発を進めている。嫦娥五号は月に着陸して石や土を採取し、地球に持ち帰るサンプル・リターンを行うことを目指す計画だ。
 これまで中国は、嫦娥一号と二号で月軌道への投入、そして嫦娥三号で月面に着陸した経験がある。しかし嫦娥五号の実現のためには、月面から離陸し、月軌道から離脱して地球へ向かう軌道に乗り、そして秒速11kmで地球の大気圏に再突入し、ある程度狙った地点に着陸する技術が必要だ。嫦娥五号飛行試験機はこれら未経験の技術のうち、月軌道からの帰還、すなわち地球と月の往復航行と、大気圏へ再突入する技術を試験する。目的やミッションの内容は、かつてソ連が実施したゾンド計画に近い。
 もっとも、中国にとってはまったく初めての経験というわけでもなく、例えば地球から遠く離れた探査機と通信し、正確な軌道変更を行う技術は、嫦娥二号が月探査終了後に行った太陽と地球のラグランジュ2点への飛行や、小惑星トータティスのフライバイで実施済みだ。また大気圏への再突入も、さすがに第2宇宙速度に近い秒速11kmでの経験はないが、地球周回軌道からの再突入であれば神舟宇宙船や返回式衛星で何度も行った実績がある。
 また、いくつかの報道によれば、嫦娥五号飛行試験機には細菌などの生物が搭載されるとされる。ヴァン・アレン帯の外の、高い放射線環境で生物がどのような影響を受けるかを実験し、将来の有人月探査の研究に役立てるのであろう。
 今回行われた熱真空試験とは、地上で宇宙空間の真空や厳しい熱環境といった状態を再現し、その中で搭載機器などが想定通り動くかどうかを試験するものだ。
 また今回、嫦娥五号飛行試験機の実機の写真が公開されたのは初めてのことで、その帰還カプセルが神舟宇宙船の帰還カプセルと相似形をしていることが明らかになった。神舟の設計を流用することで、開発の期間、コスト、リスクを抑えたのであろう。
 今後も開発が順調に進めば、嫦娥五号飛行試験機は今年の10月にも打ち上げられる予定だ。
■嫦娥五号飞行试验器真空热试验完成_中国航天科技集团公司
http://www.spacechina.com/n25/n144/n206/n133097/c709628/content.html

 オススメ関連記事