H-IIA launches ALOS-2
Image credit: JAXA
 三菱重工と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)を搭載したH-IIAロケットを、鹿児島県にある種子島宇宙センターの吉信第一射点から打ち上げた。ロケットは順調に飛行し、打ち上げは成功。「だいち2号」は、2011年に運用を終えた「だいち」の後継機として、日本が長年培ったレーダー技術で地表を詳しく観測し、防災や災害時の状況把握、資源の管理などで活用される。
 「だいち2号」を搭載したH-IIAは、2014年5月24日12時5分14秒(日本標準時、以下同)、メイン・エンジンと固体ロケットブースター(SRB-A)を力強く噴射し、種子島宇宙センターから離昇した。快晴の太平洋上に大きな弧を描きながら飛び続け、燃焼の終わったSRB-Aや第1段、不要になった衛星フェアリングなどを次々に分離、そして離昇から約15分47秒後に、「だいち2号」を予定通りの軌道に送り込んだ。
 またその後、相乗りしていた4機の小型衛星も分離に成功、電波の受信にも成功した。
 「だいち2号」は2006年に打ち上げられた「だいち」の後継機だ。「だいち」は光学センサー(カメラ)と合成開口レーダーで地表をくまなく観測し、得られたデータは国内外の地震などの災害対策、対応や、不法投棄や違法伐採の摘発などで貢献。「だいち」は当初3年とされていた設計寿命を過ぎてからも運用され続け、2011年3月11日の東日本大震災後の観測でも活躍した。その直後に問題が発生し、2011年5月12日に運用を終了したが、当時すでに後継機である「だいち2号」の開発がスタートしており、2013年度の打ち上げが目指されていた。
 しかし「だいち2号」自身も東日本大震災の影響を受け、試験設備の被災などでスケジュールに遅れが発生。また2月に打ち上げられたGPM主衛星と打ち上げ時期が被ってしまうなどといった問題もあり、今月まで打ち上げが遅れることとなった。しかしその間も、打ち上げ時期の目標は「2013年度夏季」となったり、その後「2013年度冬季」と変わるなど、なるべく早期の打ち上げを目指し、努力が続けられた。
 「だいち2号」は「だいち」の後継機ではあるが、光学センサーと合成開口レーダーを両方積んでいた「だいち」とは違い、「だいち2号」には合成開口レーダーしか搭載されていない。これによって衛星が小型になり、また衛星が故障した際に、すべての観測機器が失われるという事態を防ぐことができる。なお、「だいち2号」とは逆に光学センサーのみを搭載するALOS-3の研究も進められており、現在のところ2017年度に打ち上げられる予定だ。
 合成開口レーダーとは、自ら電波を発信し、地表から反射された電波を受信し、地形や対象物を捉えることができるという技術だ。光学センサーは太陽光で反射した光を捉えて像を写し出すため、夜間や雲があるときは観測できないが、合成開口レーダーでは夜間や雲に関係なく観測することができる。
 人工衛星に搭載される合成開口レーダーには、Lバンド、Cバンド、Xバンドといった種類があり、これらは使う電波の波長の違いを表している。Lバンドが波長が長く、例えば森を観測した際には、木の幹や土の下の岩盤から反射する。逆に波長の短いXバンドでは、葉っぱ一枚から反射する。これらは観測したい目的に合わせて、どの波長を使うかが選択される。
 「だいち2号」が搭載する合成開口レーダーはLバンドを使用する。名前はPALSAR-2(パルサー・ツー)だ。Lバンド合成開口レーダーは1992年に打ち上げられた「ふよう1号」に初めて搭載され、「だいち」への搭載を経て、今回で3世代目となる。「だいち2号」のプロジェクト・マネージャーを務める鈴木新一氏は「長年かけて改善、改良をしてきており、最高のレーダーができたと思っている」と自信を見せる。
 衛星は今後、高度628km、軌道傾斜角97.9度の太陽同期準回帰軌道で運用される。この軌道は14日に1回、地球の同じ場所の上空を通過するようになっている。「だいち」よりも高度が低く設定されていることから、より頻繁に観測ができるようになった。また大気との抵抗によって高度が下がったり、太陽の引力によって軌道が乱されたりといった変化を衛星自身が捉え、自動で修正することで、毎回正確に同じ地点の上空を通過できるようにもなっている。
 現在すでに衛星は太陽電池パドルの展開に成功しており、明日にも折り畳まれているPALSAR-2のアンテナが展開される。そして搭載機器の確認などが実施されたのち、約80日後からPALSAR-2による観測が始まる予定だ。得られたデータは、先代の「だいち」同様、災害対策や資源調査、地球環境保護など、多岐に渡る活用が期待されている。
 衛星の設計寿命は5年、また目標として7年が計画されている。観測が順調に進めば、6ヶ月後にもデータの提供が始まるとのことだ。
 その「だいち2号」を打ち上げたH-IIAロケットは、今回が24機目、また7号機以降、18機連続での成功となった。これを受けて三菱重工の水谷久和防衛・宇宙ドメイン長は会見の中で、「今後とも安全性と信頼性を維持しつつ高めていき、また第2段の高度化などを行い、製品として、ブラッシュアップを図っていきたい」と語り、国内外からの商業衛星打ち上げ受注に向けた意欲を見せた。
■JAXA | H-IIAロケット24号機による陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の打上げ結果について
http://www.jaxa.jp/press/2014/05/20140524_h2af24_j.html

 オススメ関連記事