イスラエル国防省と、イスラエル・エアクラフト・インダストリーズ(IAI)社は9日、偵察衛星オフェク10を搭載したシャヴィト2ロケットの打ち上げに成功した。イスラエルが自身のロケットで人工衛星を打ち上げたのは4年ぶり。オフェク10は合成開口レーダーを搭載した偵察衛星で、周辺国の脅威に対する監視を強める。

オフェク10を搭載したシャヴィト2は、イスラエル夏時間2014年4月9日22時6分(日本時間10日4時6分頃)、パルマヒム空軍基地を離昇した。イスラエル国防省やIAI社は、打ち上げは成功したと発表、また現在衛星との通信も取れ、正常な状態にあるとのことだ。

オフェク10はイスラエル国防軍によって運用される偵察衛星で、IAI社によって製造された。発表によれば、分解能0.5mの合成開口レーダーを持ち、高度約600kmの軌道を周回し、地上を監視するという。それ以外の、衛星の寸法や質量などの情報は不明。オフェクとは地平線、水平線を意味する。

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イスラエルが自身のロケットで人工衛星を打ち上げたのは、2010年6月22日のオフェク9以来、4年ぶりのことだ。また打ち上げは9回目、そのうち成功は6回目となる。

同国はエリコIIと呼ばれる弾道ミサイルを、シャヴィト(彗星)と呼ばれる衛星打ち上げ機へ転用し、1988年9月19日に最初の衛星オフェク1の打ち上げに成功した。これによりイスラエルは、ソ連、米国、フランス、日本、中国、英国、そしてインドに続く、8番目の自力衛星打ち上げ国となった。

オフェク1は質量155kgほどの小型衛星で、太陽電池による発電や、信号の送信など、人工衛星としての基礎的な技術が試験された。1990年4月3日にはシャヴィトでオフェク2が打ち上げられ、衛星との通信技術を確立する。

1994年9月15日にも何らかの衛星を搭載したシャヴィトが打ち上げられるも、失敗。そして1995年4月5日には、改良型のシャヴィト1を使い、光学センサーを搭載したオフェク3を無事に軌道へと送り込んだ。

1998年1月22日には、オフェク4を搭載したシャヴィト1を打ち上げるも失敗。2002年5月28日にはオフェク5を搭載したシャヴィト1が打ち上げられ、これは成功した。しかし2004年9月6日には、オフェク6の打ち上げに失敗する。2007年6月11日、打ち上げ能力を向上させたシャヴィト2を使い、オフェク7の打ち上げに成功。そして2010年6月22日、同じくシャヴィト2を使い、オフェク9の打ち上げに成功した。

シャヴィトの射場であるパルマヒム空軍基地は地中海、つまりイスラエルの西に面しており、打ち上げ失敗時に自国や周辺国へ落下しないよう、シャヴィトは西向きに打ち上げられる。この場合地球の自転に逆らうことになるため、打ち上げ能力の点で損失となっている。

ところで、前述のイスラエルの打ち上げ記録の中でオフェク8が抜けているが、実は存在し、2008年1月21日にインドのPSLVロケットによって打ち上げられている。オフェク8はTecSARとも呼ばれ、合成開口レーダーを搭載する衛星の試験機、つまり今回打ち上げられたオフェク10の実証機と位置付けられている。

イスラエルは他にも、衛星の打ち上げを外国に外注しており、通信衛星のエイモス(AMOS)シリーズはフランスやロシア、ウクライナのロケットで、商業用の地球観測衛星エロスもロシアのロケットで打ち上げられている。

 

■Israel Successfully launches “Horizon 10” Satellite
http://www.idfblog.com/2014/04/10/israel-successfully-launches-horizon-10-satellite/

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