ロシアによるクリミアへの侵攻、編入などウクライナ情勢の悪化を受け、米国政府は4月2日、米航空宇宙局(NASA)に対し、ロシア政府や機関との接触を禁止するとの通達を出した。

これはNASAの内部で出回ったEメールのリークによって明らかになったもので、またリークの数時間後、NASAは公式にロシアとの接触を断っていることを認めた。

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リークされた文章によれば、両国間のテレビ会議から、NASA関係者のロシアへの渡航、またNASAの施設をロシア政府関係者が使用することも禁止するとされている。

ただし、国際宇宙ステーション(ISS)に関しては例外とされ、現在、若田光一宇宙飛行士がコマンダー(船長)を務めているISSの運用への影響はないとみられる。またロシア国外で開催される多国間会議に、ロシア側の関係者と同席することも禁止されてはいない。

現在米国は、ISSに宇宙飛行士を飛ばす手段を持たず、ロシアのソユーズ宇宙船に依存している。したがってロシアとの完全な断交は、NASAがISSを放棄するということに他ならず、今後、ウクライナ情勢や米ロ関係がどのように変化しようとも、例外であり続けるだろう。

有人飛行以外の分野で、ロシアと米国が協力することは少ないが、例えば現在火星で活動中のNASAの火星探査車キュリオシティには、ロシア製の観測機器が搭載されており、今後、同様の共同プロジェクトに影響が出る可能性はある。

また、今年8月にはモスクワで第40回国際宇宙空間研究連絡委員会(COSPAR)科学総会が、さらに9月には第29回国際航空科学会議(ICAS)がサンクト・ペテルブルクで開催される予定で、NASA関係者が参加できないなどの影響が出る可能性もある。

 

■NASA Bans Contact With Russia - Except for ISS (Update) - NASA Watch
http://nasawatch.com/archives/2014/04/nasa-bans-conta.html

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